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新型コロナワクチン接種 静岡市、3回目は着実かつ効率的に【解説・主張しずおか】

 静岡市は、新型コロナウイルスワクチンの接種を希望する12歳以上の市民への2回の接種を11月上旬までに終了した。最終的には国の接種率を上回り、県にも追い付いた同市だが、長らく1回目の遅れを取り戻せず、同じ県内の政令市である浜松市にも大きく差を開けられた。原因の分析と反省を踏まえ、3回目接種は着実かつ効率的に実施してほしい。

新型コロナのワクチン接種を受ける静岡市民=10月上旬、同市駿河区のツインメッセ静岡
新型コロナのワクチン接種を受ける静岡市民=10月上旬、同市駿河区のツインメッセ静岡

 静岡市は7月末までの完了を目指していた高齢者の接種完了が後ろにずれ込み、一般接種に影響を引きずった。7月中に全年代に一斉に接種券を発送したものの、49歳以下の予約が始まったのは約2カ月後。接種を待つ市民からは不満の声が多数上がった。
 接種加速を図るため、モデルナ製の使用も検討し始めた直後に同ワクチンの供給不足に見舞われた上、モデルナ製で大規模接種を行う予定だった自治体にファイザー製が代替供給されたあおりを受け、同市に配分されるファイザー製ワクチンが減ったことも、接種率の伸び悩みにつながった。
 一方の浜松市は、モデルナ製の自治体への供給が始まった直後にいち早く手を挙げ、7月からは2種類を併用して接種を加速。9月上旬には1回目の接種率が政令市で最高となるなど、県外の大都市と比べても接種は進んだ。高齢者を優先し、年代の高い順に予約を始めた静岡市と違い、年齢に関係なく接種券を受け取った人から順次予約を可能とし、接種枠を確実に埋めていったことも接種の効率化につながった。
 静岡市はこのほか、医療従事者への先行接種に時間を要したことによる接種開始時期の遅れも指摘されている。同市の松田仁之保健所統括監は「いろいろ要因はあったがスムーズに進まなかったのは事実」と2回目までの流れを総括した。
 ワクチンの供給不足などの不可抗力はあったにせよ、あらゆる場面で初動の判断が遅かったと言わざるを得ない。
 市は高齢者の接種予約でコールセンターの混雑やシステムの不具合などが生じたことを踏まえ、3回目接種に向けて予約番号の増設やウェブ予約支援の拡大を進めている。
 3回目は接種時期の2カ月前倒しが例外的に認められるなど、スケジュール調整が再び課題となる。会場や打ち手の確保を着実に進め、これまでに20人以上に発生している接種ミスの防止を徹底した上で接種を進めてほしい。

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