不思議な世界へようこそ 「魔法のティータイム ヴェルベナ」(静岡市葵区)【記者さんぽ|個店めぐり】

 「まるでおとぎの世界に来たよう」「今まで静岡にはなかったお店」。そんな情報を聞きつけ、静岡市葵区七間町のカフェ「魔法のティータイム ヴェルベナ」を訪ねてみました。お店はJR静岡駅から徒歩約15分の、静岡東宝会館やワシントンホテルプラザが並ぶ七間町通りに10月末にオープンしたばかり。ファンタジーの世界観で内外装や料理にこだわっていて、通りを歩く人々も思わず立ち止まってしまうほどです。

ファンタジーの世界をコンセプトにした店内
ファンタジーの世界をコンセプトにした店内


 出迎えてくれたのは店長の南條未由さん(19)。静岡大学農学部に通う大学生です。なぜ現役の大学生が? 気になるところは追々聞いてみることにして、まずは店内に。


photo02 店長の南條さん。現役の大学生です

 ■店内は「魔法の空間」が広がります
 店名のヴェルベナは、「魔力」や「魅力」が花言葉のバーベナ(Verbena)という花をスペイン語読みしたものなのだそう。店内に入ると、名前通り、魔法の空間が目の前に広がります。店の中心には世界樹をモチーフにした大きな木のオブジェが立ち、店内に枝を伸ばしています。壁には迫ってきそうなほど傾斜した本棚(本は固定してあり倒れてはきません)が置かれたり、パイプや歯車などの機械類をイメージした装飾が施されたりしています。目線を上げると、大鍋や世界樹の幹に載った小屋のようなものがあり、店内を眺めているだけでワクワクしてきます。


photo02 壁の本棚は今にも動き出しそうです

 なんでも、店の内外装は魔法の力を持った少女モアの物語を反映させているのだとか。物語は南條さんのオリジナルです。「見る角度によって違う世界に見せるようにした。非日常を味わってほしい」という南條さんの工夫が各所に散りばめられた店内は、モアが閉じ込められている城の中の寝室と研究室をイメージしていて、世界樹の小屋はモアとともに暮らすネココウモリ「ポポ」というキャラクターの住みかなのだそう。

 店のコンセプトやデザインは南條さんが立案し、デザイナーとともに構想を具体化させました。コンセプトを紹介するパンフレットも作成する力の入れよう。南條さんの強いこだわりが、作り込まれた店内からひしひしと伝わってきました。

 ■開店のきっかけはコロナ禍
 元々、英国の文化や文学、ファンタジーの世界が好きだったという南條さん。大学入学時、すでに新型コロナウイルスの感染が拡大していて、授業はオンラインになり、自宅から出られない日々が続いたそうです。思い描いていた学生生活とはかけ離れた日常を変えようと、「何かできないか」と奮い立ちます。

 建築デザイン事務所を経営する父・充さんに幼少期の頃から経営の教育を受けていたという南條さんは、憧れていたファンタジーの世界をコンセプトにした自分の店を開くことを決意。ことし2月から構想を始めると同時に、店の運営会社を設立、代表取締役社長に就任しました。


photo02 視線を変えると違う景色が広がり、見ているだけで楽しめます

 コロナ禍のあおりを受け、飲食店は軒並み厳しい経営を強いられる中での出店。座席の間隔をあけたり、入り口にアルコール消毒液と体温計を置いたりして、感染対策を徹底しました。10月末の開店時には静岡県内の新規感染者数は落ち着きつつありましたが、南條さんは「不安は大きかったです」と本音を漏らしました。

 取材日はオープンから約2週間後でしたが、この間、当初の想定以上に来店客が多かったそうです。お客さんからは「遊園地に来たみたい」などと満足度の高さをうかがわせる反響があったといい、「提供メニューや接客、内外装など、細かなところまでこだわったことがお客さんにも伝わったのではないでしょうか」と、手ごたえを感じているようでした。

 ■提供メニューにもこだわりと工夫
 そんな魔法カフェのおすすめはパンケーキと紅茶。私(記者)もいただきました。魔法の書に入ったメニュー表には5種類のパンケーキのほかに、オーガニックのアールグレイやダージリンなどの紅茶、東インド会社が取り扱っていたという260年以上の歴史を持つオランダのコーヒーブランド「ダウエグバーツ」のコーヒーなどがそろいます。今回いただいたのは、モンブランのおいしさを味わえる「パンケーキ 森」と、青紫色が特徴的な「バタフライビーソーダ」。


photo02 世界樹をイメージした一皿

 世界樹を連想させる特注のお皿に載ったパンケーキは濃厚なマロンクリームとサクサクしたパイ生地の食感を楽しめます。食べる前にも楽しい演出が用意されています。透明なふたをかぶせた状態で提供され、ふたの内側は霧に見立てた食用アロマが充満しています。ふたを開けると、霧の中からパンケーキが現れます!

 添えられた生チョコのトリュフやドライフルーツがアクセントになって味わい深い一皿でした。バタフライビーソーダは初めて飲む味でしたが、微炭酸で紅茶の香りもほのかに感じられるすっきりした飲み心地でした。今後は新メニューの提供やランチ、テークアウトも行う予定とのことです。


photo02 お店の外観。思わず立ち止まってしまいます

 ■「同世代に希望を」 店に込めた思い
 ヴェルベナは絵本の中の「1ページ目」だといい、今後、物語の2ページ目、3ページ目として新しい店舗を増やすことを計画中です。「モアの物語の世界を広げていきたい」と目を輝かせる南條さんの表情が印象的でした。

 自分の夢を形にしていく楽しさを同世代の学生や若者に伝えたいとも。「自分の好きなことをしてお客さんに喜んでもらえる仕事があると、コロナ禍で同じような苦しい経験をした同世代に希望を持ってもらいたいです」とエールを送りました。
 ※【記者さんぽ|個店めぐり】は「あなたの静岡新聞」編集部の記者が、県内のがんばる個店、魅力的な個店を訪ねて、店主の思いを伝えます。随時掲載します。気軽に候補店の情報をお寄せください。自薦他薦を問いません。取材先選びの参考にさせていただきます。⇒投稿フォームはこちら

 

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