富士宮の農場にクマ 3日連続出没か 烏骨鶏など35羽襲う
富士宮市人穴の農場で15日までに、採卵用に飼育していた烏骨鶏(うこっけい)など計35羽がクマに襲われる被害があった。クマは3日連続で出没しているとみられ、同市や地元猟友会などがわなを仕掛けて捕獲を急いでいる。

富士宮署や富士宮市によると、クマは体長約1・8メートル、いずれも同一個体のツキノワグマとみられる。
被害に遭った仁藤ファームの仁藤光晴さん(66)によると、13日に若い20羽、15日に残る15羽が襲われた。14日にも、13日の残骸があさられた形跡があったという。
西富士山麓猟友会や同市などが15日午後、敷地内の小屋に近い場所に捕獲器を仕掛けた。同猟友会の藤浪庸一会長は「クマは鳥の残骸の存在も理解しているので、再び姿を現す可能性が高い」と話した。関係者は「今年はナラ枯れの影響でドングリが少ないとみられ、目撃が多い」と指摘した。市は防災行政無線で注意喚起している。
現場は人穴浅間神社南側の農場で、森に囲まれた住居が点在する地域。南に約1キロの位置にある人穴小では、徒歩で通学する児童数人の下校に教職員が付き添った。
■2度遭遇の経営者「生きた心地せず」
富士宮市人穴の農場で15日までにクマが家畜を襲った事案で、3日間で2度もクマに遭遇する羽目となった経営者の仁藤光晴さんが「心底驚いて慌てて逃げた。生きた心地がしなかった」と恐怖の体験を語った。
13日朝、仁藤さんが烏骨鶏などの餌やりのために小屋を訪れると、内部から「ううう」とうなり声が聞こえた。扉の隙間から黒い体が見え、クマだと確信した仁藤さんは退避して富士宮署に通報。駆け付けた警察官とともに再び小屋に近づくと、今度は出てくるクマに遭遇して警察官とともに逃げた。
15日朝には警戒に訪れた警察官と一緒に小屋に行くと、小屋の扉が破られてクマが飛び出してきた。一目散に逃げたが、クマは一時、警察官を追い掛けるしぐさを見せ、そのまま林に姿を消した。
30年以上、農場を経営してきた仁藤さんもクマに遭遇するのは初めて。「頭の中は真っ白。慌てて転んでしまった。捕獲されるまでは気が気ではない」と話した。