静岡県議会 知事不信任案巡り駆け引き 「コシヒカリ」発言

 川勝平太静岡県知事が参院静岡選挙区補欠選挙の応援演説で御殿場市をやゆしたかのような発言をしたことを巡り、県政が揺れている。県議会最大会派の自民改革会議が12日、知事の不信任決議案を提出する方針を決めたことを受け、県議会各会派は議案の取り扱いを巡った駆け引きを活発化させた。法的拘束力のある不信任決議案可決のハードルは高く、出席議員の4分の3以上の賛成が必要になる。現在、全県議は67人で、全県議出席を想定した可決ラインは「51」。可決を目指す自民は他会派への説得に乗り出し、知事に近い会派は引き締めに躍起になっている。

静岡県議会の会派構成(数字は人数)
静岡県議会の会派構成(数字は人数)


 ■48年ぶり
 県議会事務局によると、知事の不信任決議案が提出されれば、1973年の竹山祐太郎知事(当時)に対して以来、48年ぶり。可決すれば県政史上初となる。川勝知事の発言を巡り、たびたび衝突してきた自民改革会議は、19年に知事が「県議会にはやくざ、ごろつきもいる」と発言したことが明らかになった際は提出を見送った。
 今回の不信任案提出の動きについて県議の1人は「人口の多い少ないで地域を分断した明確な差別発言。これまでの失言とは質が違う」と解説する。同会派が同日開いた議員総会では、執行部の方針に異論は一切出なかったという。川勝知事が再度謝罪したこの日の知事会見後に取材に応じた同会派の野崎正蔵代表は「今の知事の姿勢は県民のためになっているのか。しっかり正す場面を作らないと同じことが繰り返される」と語気を強めた。

 ■あと2人?
 自民関係者からは不信任案可決に向け「あと2人だ」との声が漏れる。基準になっているのが、9日に問題発言を巡り知事に提出した抗議文に名を連ねた県議49人だ。自民改革会議(40人)と公明党県議団(5人)と無所属の県議4人が署名した。49人が仮に不信任案に賛成すれば、あと2人の賛成で可決することになる。関係者によると、17人が所属する知事与党のふじのくに県民クラブや無所属の県議に対し、自民の県議による引き剝がしの動きが始まっているという。
 一方、ふじのくに県民クラブが同日開いた議員総会で幹部が「結束すれば(不信任案可決は)止められる。17人には結束してもらう」と呼び掛けるなど、「造反」に対する引き締めが始まっている。抗議文に名を連ねた公明党や無所属議員も不信任案に対する態度は明確にしておらず、月内にも予定される臨時会や12月定例会の開会まで自民の多数派工作は続きそうだ。

 〈メモ知事不信任決議案 地方自治法に基づき、議員数の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の賛成で可決する。可決すると、知事は10日以内に議会を解散しなければ失職する。議会を解散した場合、県議選が行われ、改選後の議会で不信任決議案が提出されると、今度は出席議員の過半数の賛成で知事は失職する。

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