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熱海土石流、殺人容疑告訴 遺族弁護団、捜査進展期待「業者の悪質性明確」

 熱海市伊豆山で7月に発生した大規模土石流で、死者6人の遺族5人が10日午後、起点となった盛り土を含む土地の現旧所有者を殺人容疑で刑事告訴した。熱海署に告訴状を提出後、報道陣の取材に応じた弁護団共同代表の加藤博太郎弁護士は「生命に危険が生じても仕方ないとの未必の故意はあった。殺人容疑で受理し、捜査を進めてくれるはず」と期待する一方で、捜査の迅速性を重視し、さらなる追加の告訴は見送る姿勢を示唆した。=関連記事35面へ
 「明らかに風向きが変わってきている」。加藤弁護士は、熱海市と県が公表した公文書の中で明らかになった行政指導などの内容に加え、県警が10月末に現旧所有者の関係先への一斉捜索に踏み切ったことなどで、盛り土を不適切に造成し、再三の指導を無視して放置し続けた両者の悪質性はより明確になったと強調する。
 遺族1人の告訴を既に受理している県警のこれまでの対応を「極めて真摯(しんし)に取り組んでくれている」と捉えた上で、「遺族の思いの尊重に加え、悪質性を踏まえて動いてくれるのでは」との感触を強くする。
 関係者によると、県警は捜索で押収した膨大な資料の整理と保全作業を進め、今週中にも本格的な分析などを開始するとみられる。他の法令適用も視野に入れながら多角的な捜査を進める方針。
 追加告訴を受け、旧所有者の代理人は取材に「人が死んでいいとは思っていないし、人が死ぬほどの土石流が起こるとは思っておらず、未必の故意は認識していなかった。告訴状の中身を見ていないが、必要な対応を取っていく。捜査には協力する」とコメント。現所有者の代理人は「殺人という罪名は不穏当だ。そもそも危険性を知らなかったし、未必の故意を認識できない。捜査には全面的に協力する」と話した。
 土石流では26人が死亡し、1人が行方不明になっている。遺族、被災者計70人は現旧所有者らに約32億円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。

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