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熱海土石流 殺人容疑で告訴 遺族5人、盛り土「未必の故意」

 熱海市伊豆山で7月に発生した大規模土石流で、死者6人の遺族5人が10日、起点の盛り土を含む土地の現旧所有者を殺人容疑で刑事告訴した。代理人弁護士とともに熱海署に告訴状を提出した。県警は既に別の遺族1人の告訴を受理し、業務上過失致死容疑などで現旧所有者の捜査を進めているが、遺族側は「過失では済まされない」と、強い処罰感情を示している。
 殺人容疑で告訴されたのは、2011年まで土地を所有し、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社の元代表と現在の土地所有者の男性。
 熱海市や県が公表した行政文書では、不動産管理会社が盛り土造成の過程で法令違反を繰り返し、市から土砂搬入の中止や災害防止措置など少なくとも7度の行政指導を受けていたことが明らかになっている。現所有者は土地取得後、排水設備や沈砂地の整備などの安全対策工事を行うと市と約束していた。
 弁護団共同代表の加藤博太郎弁護士は、元代表が市の要請を無視して盛り土を造成し続け、現所有者は何ら対策を講じなかったと指摘。「住民の命に危険を及ぼす可能性があることを認識していたのに死んでも構わないという『未必の故意』があった」と主張する。
 県警は8月、業務上過失致死容疑で元代表を、重過失致死容疑で現所有者を訴えた遺族の瀬下雄史さん(53)=千葉県=の告訴状を受理し、10月下旬に両者の関係先などを家宅捜索した。
 遺族側は11人が殺人容疑で追加告訴する意思を示していたが、捜査の迅速性を優先するため告訴人を絞り込んだ。加藤弁護士は「殺人容疑の立件はハードルが高いと認識しているが、現旧所有者の過失による災害ではない。両者には速やかに裁きを受けてほしい」と話した。
 土石流では26人が死亡し、1人が行方不明になっている。遺族、被災者計70人は現旧所有者らに約32億円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。他の遺族が追加で刑事告訴するかどうかは未定という。

 未必の故意 罪となる事実の発生を積極的に希望しない一方、特定の結果が生じるかもしれないと予見し、かつ起きてもやむを得ないと考える故意を意味する法律用語。積極的に犯罪の結果を意図する「確定的故意」と区別されることが多い。直接殺害しなくても、寝たきりの被害者に十分な食事を与えず、餓死させた場合や、被害者が寝ている住宅に放火して死なせた場合などは、未必の故意による殺人と認められることがある。

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