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悲劇「なぜ」追及本格化 熱海・伊豆山土石流から4カ月

 熱海市伊豆山の大規模土石流は3日で発生から4カ月が経過した。現地では主要道路の通行規制が解除され、小学校での教育活動が再開するなど復旧が一歩ずつ進む。一方、多くの命や財産を奪った原因と責任を追及する動きが本格化してきた。静岡県警は起点の盛り土を含む土地の現旧所有者への強制捜査に乗りだした。盛り土が造成されるまでの過程で、県や市の対応に不可解な点も浮かび上がった。

土石流発生から4カ月が経過した現場。行方不明者の捜索が続く=3日午前、熱海市伊豆山
土石流発生から4カ月が経過した現場。行方不明者の捜索が続く=3日午前、熱海市伊豆山


 ■伊豆山の希望
 「みなさんは伊豆山の希望」。1日に授業を再開した伊豆山小の国原尋美校長は、4カ月ぶりに登校した児童にそう語り掛けた。明るい話題を望んでいた地元住民も子どもの元気な姿に目を細めた。
 市は本年度中に被災地の復興計画策定を目指している。ただ、家族や自宅を失った被災者は「まだ先のことは考えられない」と訴える。自宅が全壊した田中均さん(64)は「『人災』をなぜ食い止められなかったのか。このままでは亡くなった人が浮かばれない」と語気を強める。

 ■不可解な対応
 県と市が10月18日に公表した盛り土に関する行政文書によると、2011年まで土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社の盛り土造成計画について、県と市は09年時点で「内容通りの施工は困難」と認識していた。にもかかわらず市は同年、盛り土量などがほぼ同じ内容の変更届書を受理していた。11年には再三の行政指導に従わない同社に対し、市は県と協議の上、安全対策を求める措置命令の発出を決めた。しかし、不十分ながら防災工事を実施したことなどを理由に見送った。16年には造成現場の責任者が県に崩落の危険性を伝えたが、県は対策を講じなかった。これらの対応が適切だったのか。県と市は内部で検証し、12月に設置する第三者委員会に諮る。
 熱海市議会は5日の臨時会で、強い調査権限を持つ調査特別委員会(百条委員会)を設置し、盛り土の経緯を詳しく調べる。

 ■告訴から2カ月
 県警は10月28日、業務上過失致死容疑などで、土地の現旧所有者2人の関係先など約20カ所を家宅捜索した。告訴から2カ月で本格捜査に着手した県警の対応に、遺族は「原因究明に向けた大きな一歩」と評価する。
 県警は幅広い関係先を捜索対象とし、資料に加え携帯電話などを押収した。現旧所有者が崩落を予見し、危険回避策を施していたかどうかが今後の焦点になりそうだ。ただ、自然災害が絡み関係者も多いため、立件の可否判断に相当な時間を要する可能性がある。県警は他の法令違反の適用も視野に入れながら慎重に捜査を進める。
 遺族らでつくる「被害者の会」は、現旧所有者が危険性を予見していた可能性が高いとして、今月10日にも複数の遺族が両者を殺人容疑で追加告訴する方針を示している。
 

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