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子宮頸がん接種機運高まり 静岡県内自治体「お知らせ」成果

 国が子宮頸(けい)がんを予防する「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」の積極的な接種の呼び掛けを一時中止してから8年以上が経過する中、厚生労働省の専門部会は10月、再開を認める方向で一致した。県内では昨年から、接種対象者に個別で定期接種の存在を通知する動きが広まり、接種率が増加している。医師らはこの流れを歓迎し、接種の加速を期待する。

HPVワクチンを接種する女児。自宅に届いたリーフレットをきっかけに接種を決めた=9月中旬、浜松市内
HPVワクチンを接種する女児。自宅に届いたリーフレットをきっかけに接種を決めた=9月中旬、浜松市内

 「子宮頸がんになる方が副反応より怖いと思い、打つことを決めました」。浜松市内に住む小学6年生の女児(12)は9月中旬、子宮頸がんワクチンの2回目の接種に臨み、経緯をこう話した。市からワクチンに関する情報をまとめたリーフレットが届いたことで、母親と一緒に子宮頸がんやワクチンについて調べたという。
 母親は「子どもがどうやって生まれるか、性教育を行う機会にもなった」と振り返る。
 計3回接種するワクチンは、小学6年から高校1年までの女子が公費で接種できる。浜松市は市母子保健推進会議で定期接種の周知不足を指摘されたことを受け、厚労省作成のリーフレットを2020年7~8月に小6、中3、高1の女子宅に個別送付した。その結果、19年度に3・4%だった接種率が20年度は19・1%に増加した。市健康増進課の担当者は「定期接種だと知らなかった市民が多く、伝える責務を実感した」と話す。
 リーフレットなどを個別送付する動きは、国や県の通知もあって現在は県内の大半の市町が実施している。20年度の県内の接種率は19年度の4倍以上となる11・8%に増えた。
 県小児科医会予防接種協議会の野田昌代会長は「リーフレットの配布によって医療者側もアプローチしやすくなった」と語る。ただ、依然として接種率は低いと指摘し、「うわさに惑わされず、ワクチンの必要性を親子で考える機会を持ってほしい」と訴える。

 ■国、勧奨再開へ 矛盾8年経て転機
 HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは定期接種とされている一方で、国が接種の積極的な勧奨を控えるちぐはぐな状況が続いている。70%あった接種率は1%未満に落ち込み、国内の患者数、死者数はいずれも増加傾向だ。日本産科婦人科学会などは国に対して接種勧奨の再開を繰り返し求めてきた。
 全身の痛みなどを訴える接種者の声を受けて、国は定期接種化した2013年4月からわずか2カ月余で積極的な勧奨を中止。接種者が激減した。
 「接種の積極的な勧奨を控える中では、情報発信の仕方が難しい」。県内自治体からは、広報の限界を嘆く声が漏れる。
 WHO(世界保健機関)は日本が「若い女性をがんの危険にさらしている」と批判してきた。日本産科婦人科学会は「世界の中で日本だけが将来も子宮頸がん罹患率の高い国となる可能性が懸念される」との声明を出している。
 10月1日に開かれた厚生労働省の専門部会では、海外の大規模な研究でワクチンの予防効果が示され、接種後に生じたと訴えられている症状と接種の関連性は明らかになっていないとした。
 静岡産科婦人科学会の伊東宏晃会長は「今は副反応をフォローアップする態勢も整っている。ワクチン接種と検診の両方で予防を図ってほしい」と話す。

 <メモ>子宮頸がん 子宮の入り口(頸部)にできるがん。毎年1万1000人が診断され、約2800人が亡くなっている。最近は20~30代の発症が急増している。主な原因は性交渉によるHPV感染。性交渉経験前にワクチンを接種することや定期的な検診が予防の鍵。ワクチンの予防効果は、公費で接種できるワクチンが約65%、国内で2月に承認され、接種は実費のワクチンが約90%とされる。

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