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特集 : 福祉・介護

医療的ケア児 足りない居場所 受け入れ先依然少なく 衆院選静岡

 日常的に医療的サポートが必要な子ども「医療的ケア児」と家族を巡り、診療報酬の改定や国や地方自治体の支援を定める「医療的ケア児支援法」が議員立法で成立するなど、環境整備が進んでいる。静岡県内でも生活を支援する取り組みが始まっているが、医療的ケア児の居場所が不足し、家族が求める支援に結びついていないなど課題が山積している。

訪問看護サービスを活用し、自宅近くの放課後等デイサービスを利用できるようになった熊野湖子さん(右)=沼津市本字千本の認定NPO法人マム
訪問看護サービスを活用し、自宅近くの放課後等デイサービスを利用できるようになった熊野湖子さん(右)=沼津市本字千本の認定NPO法人マム

 進行性神経難病を抱える沼津市の中学2年生熊野湖子さん(14)は昨春、胃にチューブで栄養を注入する胃ろうの手術をした。母万起子さんは医療的ケアができる放課後等デイサービスを探したが、看護師が常駐する事業所は市内に2カ所だけ。長期休暇中の預け先に困っていたという。
 万起子さんは、同市の社会福祉法人輝望会が運営する相談支援事業所に相談し、3月に医療的ケア児に関する報酬基準が見直されたことを知った。この制度を活用し、看護師による訪問看護サービスを受けながら、放課後等デイサービスの利用できるようになった。万起子さんは「長年お世話になっている施設や看護師にお任せして、長期休暇中もパートを続けられた」と胸をなで下ろす。
 湖子さんをサポートするのは同市の認定NPO法人マムの放課後デイサービスと、聖隷訪問看護ステーション千本。マムは人員不足やコスト面から看護師を常駐できず、医療ケア児を断っていた。マムの川端恵美理事長は「訪問看護に適切な報酬を支払える制度に変わり、医療的ケア児の受け入れが初めて可能になった」と指摘する。
 同ステーションの桜井悦子所長は「訪問看護や制度改正に関する認知度は依然低い。国や行政は周知に力を上げ、活用する家族が増えてほしい」と求めた。市肢体不自由児(者)を守る父母の会の活動に取り組む万起子さんは「18歳以上を受け入れられる生活介護事業所はさらに足りない。子どもから高齢者まで切れ目ないサポートを受けられる体制を整えてほしい」と要望した。

 〈医療的ケア児〉 自宅で生活し、人工呼吸器やたんの吸引、胃ろうなどの医療的ケアが日常的に必要な子ども。全国に約2万人いるとされ、医療技術の進歩に伴い増加している。
 9月に施行した支援法は、保育所や学校に看護師やケアができる保育士を配置し、家族らの相談に応じる支援センターを各都道府県に置くことなどを求めている。県によると、県内の医療的ケア児は推計約600人。福祉の現場で働く看護師をはじめとした専門人材が不足している。

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