バイク愛好家の憩いの場 「ビンテージバイク&カフェ くれいじーママ」(浜松市中区)【記者さんぽ|個店めぐり】

 浜松市に「くれいじーママ」という変わった名前の喫茶店があるという情報を小耳にはさみました。ママがかなり個性的な人なのか…。インターネットで検索すると、バイクの写真がたくさん出てきました。バイクに詳しくなくても、入店させてもらえるのか…。不安を感じつつ、好奇心に駆られて訪ねてみました。

テーブルの上にバイクがありました
テーブルの上にバイクがありました

 航空自衛隊の浜松広報館から車で5分足らず。浜松市中区和合町にあるお店は、アフロヘアの女の子の看板が目印です。ドキドキしながらドアを開くと、店内はバイク一色。カウンター越しの食器棚にバイクの模型が並んでいます。店内を見渡すとまず、テーブルとテーブルの間に「停車した」黄色いバイク(ホンダCB400FOUR) が目に飛び込んできました。本物です。反対側に目をやると、なんとテーブルの上にも。白いバイク(ヤマハRZ250)が据え置かれています。こちらも本物。
photo01 ビンテージバイクの展示コーナー
 店内の一角には「ロイヤル・サンライト 板垣」「スズキT21」など、1950~70年頃のバイクの陳列スペースもありました。雑誌はバイク雑誌がほとんど。壁には馴染みのレーサーから寄贈されたというレース写真やスーツ(つなぎ)、お客さんがくれたというバイクのイラストも飾られています。
photo01 古いバイクが大好きだというマスターの暁広さん
 マスター坂野暁広さんとママ令子さんはご夫婦。還暦を過ぎたあたりで年齢を忘れてしまったそうです。開店は昭和50年代後半。お2人がそれぞれ30代、20代の頃でした。暁広さんによると当時、市内にあったオシャレな喫茶店「ひまじん」が若者でにぎわっていたそうです。空調メーカーの技術者をやめた暁広さんも「変わった喫茶店をやろう」と、「ひまじん」のマスターから店づくりを教わりました。名古屋のデザイナーも紹介してもらい、お店の内装などデザインを一任。「ディスプレースペースに好きな物を飾って」と提案され、バイクでいっぱいのお店が生まれました。
photo01 開店当時に料理の参考にしたという雑誌「ノンノ」。今も大切にしているママの令子さん
 個性的な店名は、ママの知人が「あなたにぴったり」と名付けてくれたそうです。「デザイナーからアフロヘアにするように言われて快諾して髪形をアフロヘアにした」「昔はミニスカートでバイクに乗っていた」。こうしたエピソードに象徴されるママのノリの良いお人柄が、店名の由来でした。お客さんはバイクファンが多いものの、面白そうなお店だと思って訪れるという私のような人も少なからずいるのだとか。「バイクに詳しくなくても、お店入るのに勇気なんかいらないよ」と温かく迎えてくれました。
photo01 「くれいじーピラフ」を注文しました。シメジやピーマン入りの優しい味でした
 スズキや本田技研工業といったメーカーが事業所を構え、レースを楽しめる「浜松オートレース場」やバイク好きが集まるイベント「ミーティング」も開かれるバイクのまち浜松。くれいじーママは、バイクファンの憩いの場として40年近く親しまれてきました。
photo01 店外にはレトロブランコがあります。愛猫もいました
 新型コロナ禍で静岡県外からのお客さんが激減しましたが、「お客さんの波はこれまでもあった。それでも来てくれる人がいてやってこられた」と暁広さん。「お店を閉める予定はないよ」と言い切る姿に、バイクのまちに息づく個店の矜持を感じました。
 ※【記者さんぽ|個店めぐり】は「あなたの静岡新聞」編集部の記者が、県内のがんばる個店、魅力的な個店を訪ねて、店主の思いを伝えます。随時掲載します。気軽に候補店の情報をお寄せください。自薦他薦を問いません。取材先選びの参考にさせていただきます。⇒投稿フォームはこちら

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