静岡県警家宅捜索 造成会社元幹部ら立ち会い 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模土石流で県警は28日、業務上過失致死などの疑いで、崩落の起点となった盛り土部分を含む土地の現旧所有者2人の関係先を家宅捜索し、資料などを押収した。関係者によると、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)の元幹部らが立ち会った。盛り土には産業廃棄物も混入していたとされ、県警は他の法令違反の適用も視野に入れながら慎重に捜査を進める方針。

不動産管理会社の関係先の農園の捜索で押収した資料を車に積む捜査員=28日午後5時半ごろ、神奈川県小田原市
不動産管理会社の関係先の農園の捜索で押収した資料を車に積む捜査員=28日午後5時半ごろ、神奈川県小田原市

 関係者によると、家宅捜索したのは小田原市内の不動産管理会社の事務所や元幹部の自宅、同社関連の農園など。県警は捜査員百数十人を投入。捜索対象は神奈川県や東京都、静岡県など約20カ所に及ぶ。29日も捜索を続ける。
 小田原市にある不動産管理会社の事務所の捜索は正午ごろから3時間余り続いた。関係者とみられる複数の人物が、捜査員が段ボールで覆い隠す中で事務所内を出入りし、捜索に立ち会った。元幹部の自宅の捜索は午後5時ごろから約1時間行われた。市内の農園では約1時間半の捜索で、資料など段ボール1箱分を押収した。
 7月3日の土石流発生後、元幹部は神奈川県の内外を転々としていたとみられる。小田原市の自宅には発生から間もなく、不在を知らせる貼り紙が掲示された。県警は元幹部の所在などの確認を慎重に進めた上で、一斉捜索に踏み切った。各捜索現場に立ち会わせるなどして、関係資料を押収したとみられる。
 土石流で母親(77)を亡くした瀬下雄史さん(53)=千葉県=が8月、盛り土を造成した元幹部を業務上過失致死容疑で、2011年に土地を購入した現所有者を重過失致死容疑で熱海署に告訴した。複数の遺族は近く、追加の刑事告訴をする方針を示している。県警は押収資料の分析を進め、立件の可否などを検討する。

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