富士川水系14カ所の泥採取 劇物検出で2回目調査【サクラエビ異変 母なる富士川 】

 駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに河川環境復元が期待される富士川水系で、静岡、山梨両県と国交省は27日、今夏に続き2回目の劇物アクリルアミドモノマー(AAM)の拡散実態調査を行った。7月の調査で、流水に加え一部で採取した泥からAAMが検出されたことを受け、調査対象地点を追加した上で、ほとんどのポイントで泥を採取した。

アクリルアミドモノマーの拡散状況を調べるため富士川水系で泥を採取する県関係者=27日午前、富士宮市内房の稲瀬川
アクリルアミドモノマーの拡散状況を調べるため富士川水系で泥を採取する県関係者=27日午前、富士宮市内房の稲瀬川

 静岡県によると、前回は計15地点だった調査地点は、地元住民から「異質な泥がある」との通報が寄せられた内房橋付近(富士宮市)を加え、今回は16地点にした。また、前回は国交省が担当した4地点だけで実施した泥の調査も、16地点中14地点で行うことにした。
 このうち、富士宮市内房の支流稲瀬川では同日午前、県の担当者ら10人程度がスコップで河床の表面の泥をすくい、平皿に集めた。その場でふるいにかけて大きめの石を取り除いた。1地点当たり10グラムの泥についてAAMが含まれていないか調べる。
 前回調査では、富士川と早川の合流地点(山梨県身延町)など3地点計4サンプルの泥と流水から人や生物に影響のない微量のAAMが検出された。
 2009年以降、富士川水系の雨畑川で大量の高分子凝集剤入り汚泥が不法投棄され、山梨県の推計でうち3万立方メートル以上が流出。凝集剤成分の一部は紫外線などでAAMになるため、両県と国は合同調査に乗り出している。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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