JR東海、金子社長会見「懸念、時間かけ対応」【大井川とリニア】

 JR東海の金子慎社長は27日に名古屋市内で開かれた定例記者会見で、同社がリニア中央新幹線建設のために行った環境影響評価を巡り、静岡県などから精度や調査が不十分との指摘があることについて「環境影響評価は適切な手順、手続きを経て行った」との認識を示した。その上で「心配や懸念が出されているので、時間をかけて対応する」と述べた。
 同社の環境影響評価に対し22日に開かれた南アルプスの自然環境の保全策を検討する県有識者会議では、委員から「(希少魚類の)ヤマトイワナに関する調査がほとんどない」との指摘があった。会議後には、難波喬司副知事が「精度が不十分」などと発言した。
 同会議では、トンネル工事によって大井川上流の沢の流量が減少する場合の対応についても回避、低減策を具体的に示すよう要請があった。これについて金子社長は「個別にどうするかはこの場では申し上げられない。できることは精いっぱいやるという姿勢で、委員の意見を伺い、県と相談しながら進める」と述べるにとどめた。

 27日に行われたJR東海の金子慎社長の記者会見での主なやりとりは次の通り。
 -4月にリニア工事費増額に伴い長期的な収入見通しを示したが、新型コロナウイルスの影響の回復が遅れている。リニア工事への影響は。
 「(業績)見通しの変更によるリニア工事への特別な影響はない。前回(4月)は長期のスパンで建設をやっていく体力があるかを検証した。今回とは目的が少し違う」
 -県有識者会議でトンネル工事による大井川上流の沢の流量減少について、委員から回避、低減策の検討が不十分との指摘が相次いだ。
 「個別には申し上げられない。できることを精いっぱいやるという姿勢で、今後必要に応じて、委員に意見を伺い、県と相談しながら進める」
 -環境影響評価は、精度や調査の面で県などから問題点が指摘された。
 「環境影響評価は適切な手順、手続きを経て行い、工事の認可をいただいた。その上で、静岡県ではさまざまな心配や懸念が出されているので、丁寧に時間をかけて対応していく」
 -参院静岡選挙区補欠選挙の結果を受け、川勝平太知事が「知事選に続いて参院補選でもリニア水問題が地域の理解が得られてないことが示された」と発言した。受け止めは
 「知事の発言について正確に把握していないが、国政選挙の結果について申し上げることはない。さまざまな観点から有権者の投票が行われたという受け止めだ」

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