相次ぐメガソーラー計画 無秩序開発 規制議論を【争点を問う③】

 「この地域に本当に必要なのか。いまだに疑問が残る」。市街地から車で北西に約1時間の静岡市葵区黒俣。「オクシズ」と呼ばれる四囲の雄大な自然が売りのこの地区に昨年、大阪府の設備会社による太陽光発電施設の設置計画が明らかになった。
 現場近くでは既に別の事業者による太陽光発電が稼働。新たな施設計画に住民は、反対や納得できないとの声を上げた。地元の清沢地区自治会連合会は市に設置条件の追加を求める要望書を提出。さらに10月上旬、設備会社担当者を呼んで説明会を開き、土砂災害発生や「オクシズ」の自然破壊といった懸念を挙げ、要望を盛り込んだ協定書締結にこぎ着けた。
 市は住民の不安を理解できるとしながらも、条例の検討など今のところ具体的に動いてはいない。住民の一人は「行政が認めている以上、何もできない。とにかく安全に工事や施設管理をしてほしい」と求める。来年5月ごろの完成を目指し、事業は進んでいる。
 太陽光発電計画は首都圏に近く、計画実現に適している豊富な敷地がある伊豆半島でたびたび浮上。その都度、地元住民は反対や懸念の態度を示してきた。
 下田市との境に近い河津町逆川地区では2019年、東京の投資会社が主体となり、大規模に山林を切り開く太陽光発電施設の設置構想が明るみに。中東・ドバイの再生可能エネルギー会社が実際に手掛け、窓口は東京の外国法の弁護士事務所が担うなど、住民は実態が見えないと感じた。「計画はずさんだった」と関係者。県が同年に改正した環境影響評価条例施行規則に抵触する初のケースとなり、事業は頓挫した。その後新たな計画の提示はない。
 熱海市と函南町の境に位置する同町軽井沢地区。約10万枚のソーラーパネルを山林に設置する大規模太陽光発電所計画があり、町と議会、商工団体など地元を挙げて「反対」の姿勢を示し、住民運動も展開中だ。
 地元で建設計画がある御前崎市の柳沢重夫市長は年度内にも、太陽光発電施設などに関する条例制定を目指すと表明した。
 政府は2030年度の温室効果ガス排出を13年度比46%削減する目標を掲げ、国連に提示。再生エネルギー導入を目指す動きは加速するとされる。県内で建設計画を抱える地域の住民の間では、無秩序な開発計画を防ぐ法整備を求める声が聞かれる。

 ■再生可能エネルギー 生活や環境配慮求める
 カーボンニュートラル推進による太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入に対する回答は、「賛成」で一致。一方で、地元住民の生活を脅かす施設建設や無秩序な環境破壊など多くの課題があるとして、全候補者が一定の法規制の必要性を挙げている。
 施設建設に伴う地元住民の反対運動が県内をはじめ、各地で発生。景観や防災上の問題をおろそかにすべきではないとの意見が多数だ。県中部の維新候補は「海上風力や、湖水や海面上での太陽光発電など周辺への影響が少ない場所を検討すべき」と提言する。ただ、これには「漁業との兼ね合いから受け入れられない」(県西部の自民党候補)との指摘もある。地域の特性を生かした対策でも、住民や関係者の合意は欠かせない。
 法規制に対し、「全国一律では使いにくい。現場の実情に合わせた実効性のあるものにするには、都道府県に幅広い権限の付与を」と県中部の自民候補。柔軟な対策が求められるとの回答も目立った。また、林地開発許可について「現行の森林法による規制では不十分。見直しが必要」(県東部の立憲民主党候補)や、「環境保全のための森林法改正が必要」(県中部の共産党候補)と具体的に示す答えもあった。

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