風電君17年間「お疲れさま」 静岡市の風力発電施設 撤去作業始まる
老朽化による故障が相次ぐなどして、2021年度内の取り壊しが決まっている静岡市駿河区の風力発電施設「風電君」の撤去作業が27日、本格的に始まった。17年間、市の環境啓発のシンボルとして市民に親しまれた風電君。作業を見守った地元住民らは「長い間お疲れさま」とねぎらった。

風電君は04年2月に市中島浄化センターの電力供給施設として運転が始まり、15年度まではセンターで使う電力量の1割を賄っていた。近年は故障が相次ぎ、修理のための稼働停止が繰り返され、20年度は稼働しなかった。今年2月に耐用年数の17年を迎え、維持費や市内の風速を考慮した採算の観点から市が撤去を決めていた。
8月に取り壊しに向けた準備工事が始まり、10月27日に本体の撤去に着手した。風電君の建つ海沿いを毎日散歩するという地元の男性(78)は「最近は動いていなかったけど、なくなると思うと寂しい」と話し、作業を見守った。
工事では同日中にプロペラを取り外す予定だったが、腐食によりボルトが外れにくくなっていたなどの影響で作業が遅れ、28日以降になった。本体の取り壊し後、配電設備の解体工事なども行い、年度内には完全に撤去する。
市環境創造課の担当者は「最後は稼働が停止してしまったが、自然エネルギーが普及する前から市の意識向上に一役買ってくれた。今後は別の視点から環境について啓発していきたい」と話した。