テーマ : 熱海土石流災害

盛り土計画ずさんさ認識 熱海市と静岡県「困難」、09年時点で

 熱海市伊豆山の土石流災害で、前土地所有者の神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が、県条例に基づいて2007年に提出した盛り土造成計画について、熱海市と静岡県が当初の計画通りに工事するのは困難だと09年の時点で認識していたことが、22日までに分かった。県と市の公表文書に記録が残っていた。同社は最初からずさんな計画を立てていたとみられ、市は申請の問題点を見過ごしたまま受理した可能性がある。

前土地所有者の盛り土造成計画の問題点を指摘した記録が残る県の公表文書
前土地所有者の盛り土造成計画の問題点を指摘した記録が残る県の公表文書

 同社は07年3月、県土採取等規制条例に基づく計画を市に提出した。開発する土地の面積は約9400平方メートル、盛り土量は約3万6千立方メートル、土砂流出を防ぐ方法として、岩を締め固めた「ロックフィルダム」を設けるとした。
 市は同年4月に受理し、同社による盛り土造成が可能になった。しかし、5月に森林法違反が発覚して県が是正を求め、作業は中断された。
 残土処理の再開を巡って開かれた09年1月の市、県、同社の協議に関する公文書によると、市は07年の申請内容について「計画にある残土処分を実行できるとはとても考えられない」「内容通りの施工は非常に困難。防災計画を含めて設計変更を」と指摘。県も「当面は現実的な量を処理する計画にしたらどうか」と意見した。
 同社は09年12月に県条例に基づく計画の変更届を市に提出した。工期と土砂流出対策を変更した以外、面積や盛り土量は当初計画とほぼ同じだった。この変更届に関し、県は土石流発生後の調査に基づき、地形から算出した搬入許容量の最大6倍の量が申請されていたと推定。変更届の内容は虚偽だったとみている。
 市の担当者は取材に対し「当初計画が出された際と、2009年時点の認識や受理の手続きが適切だったか、検証したい」と述べるにとどめた。

 ■法例・条例違反繰り返し造成 前土地所有者
 熱海市伊豆山の土石流災害発生起点付近の前土地所有者である神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)は、計画が受理された2007年当時から、法令や県条例違反を繰り返しながら盛り土造成を続けていた。
 県と熱海市の公表文書によると、同年4月に県土採取等規制条例に基づく1ヘクタール未満の計画が受理された直後から、森林法の林地開発許可が必要な1ヘクタール以上の開発に乗り出し、県から是正を求められた。09年6月には当初計画の工事期限が切れているにもかかわらず、変更届を提出しないで残土の搬入を始めた。森林法に基づく伐採届も出していなかった。
 その後も申請と異なる工事を続け、市が指導をした。市と県は「危険な状態を行政として放置しておくことは許されない」(09年11月)、「最悪のことを考えて、行政代執行の用意をした方がいい」(同年12月)などの認識を示していた。

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