たこ焼き、串カツ、海鮮丼... おもしろケーキに込めた店主の思い リモージュ(島田市)【記者さんぽ|個店めぐり】

JR東海道線の六合駅と藤枝駅のちょうど中間あたり。「一風変わった」ケーキが人気を呼んでいると聞いて、島田市東町の「ケーキ工房 リモージュ」を訪ねました。藤枝市との市境に近い幹線道路沿い、かわいらしいクマのパティシエのイラストが描かれた看板が出迎えてくれました。
お店に入ってすぐに目に飛び込んできたのは「ザ・ケーキ屋さん」というショーケース。その一角を見て思わず「うん?」と声が漏れました。
photo01 ショーケースの一角に「おもしろケーキ」を発見
たこ焼き、お好み焼き、コロッケ、海鮮丼... ケーキとはとても結びつかない文字。これか! うわさに聞いていた「おもしろケーキ」シリーズにたどり着きました。
商品に添えられた札は、こんな具合です。

「たこ焼きシュー」
「お好み焼きにそっくりなチョコレートケーキ」
「コロッケパイ」
「海鮮丼にそっくりなキャラメルムース」

店主の松下裕明さん(63)に早速、話を聞きました。
photo01 松下裕明さん

たこ焼きの青のりは抹茶の粉末、お好み焼きの紅しょうがはクレープ、海鮮丼の刺し身はようかんと、細かな具材まで全てお菓子の材料で手作りしているとのこと。まるでミニチュアの模型のようです。

ちょっと変わった、いや、かなり変わったスイーツは他にも。串カツ、イクラ丼、そぼろ弁当、目玉焼き、冷ややっこの全8種類があります。
今回は「たこ焼きシュー」作りを見学させてもらいました。たこ焼きに見立てたシュークリームにチョコレートソースをぬり、抹茶の粉末を振りかけます。かつお節はミルクチョコレートをスライスし、紅しょうがにはクレープ。最後に本物のつまようじを刺して完成です。間近で見てもたこ焼きにしか見えません。


photo01 本物のたこ焼きにしか見えません

この「おもしろケーキ」シリーズの始まりは2008年ごろ。お客さんが喜ぶ、「ウケる」スイーツを作りたいと、松下さんが通常のケーキ作りの傍らで構想を練ってきたそう。第1弾は冷ややっこでしたが、まったく売れず。しかし、松下さんは諦めませんでした。
その後、商品開発を重ねて、たこ焼きシューとコロッケパイ、串カツエクレアをそろって発売。これが、「ウケた」。うわさを聞きつけ、県内各地からおもしろケーキを求めて来店する客が増えたということです。


photo01 揚げ物もそろっています

女性よりも男性に人気が高く、家族や彼女を驚かせようと、サプライズ狙いで買い求める人が多いのだとか。「コロッケをキャベツの千切りと一緒に食卓に出したら気付かず食べてしまった」「本物と間違えて、電子レンジで加熱してしまい、食べられなくなってしまった」。そんなおもしろエピソードも生まれました。
「本物よりもリアルに」をモットーに、見た目を追求したと話す松下さん。色付けも複数の色を混ぜ合わせて、色合いや質感を本物に近づけました。


photo01 レンジ不可と書かれています(笑)

困ったのは、和菓子を材料に使用するスイーツ。例えば海鮮丼では「刺し身」として羊羹(ようかん)を使っていますが、「洋菓子専門だから和菓子は作れなかった...」(松下さん)。和菓子職人に作り方を教わり、味に納得のいくようかん作りを習得。見た目だけでなく、「食べてもおいしい」にこだわりました。
コロナ禍で商品全体の売り上げは減りましたが、「おもしろケーキ」シリーズは根強い人気で売れ行きはコロナ禍前とほとんど変わらないということです。県内の感染状況は落ち着きつつありますが、松下さんは「まだまだ社会には息苦しい、暗いムードが続いています。そんなときこそおもしろケーキで楽しい気分になってほしいんです」と言葉に力を込めます。


photo01 お店の外観

〈記者メモ〉最後に新作の予定を聞いてみました。餃子とジャガイモだそう。大福の生地を凍らせて、あぶって焼き目を... と語ってくれました。楽しみに待ちましょう。


※【記者さんぽ|個店めぐり】は「あなたの静岡新聞」編集部の記者が、県内のがんばる個店、魅力的な個店を訪ねて、店主の思いを伝えます。随時掲載します。気軽に候補店の情報をお寄せください。自薦他薦を問いません。取材先選びの参考にさせていただきます。⇒投稿フォームはこちら

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