熱海市 「盛り土」行政文書128通公開 発出見送りの命令文案も

 熱海市は19日、同市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)への対応や県との協議内容などを記した行政文書をホームページで公開した。市が同社に発出しようとしていた県土採取等規制条例に基づく措置命令文書の案や、早期の安全確保のために行政代執行を検討した市と県のやりとりなどがあり、10年以上前から行政が盛り土の危険性を強く認識していたことが読み取れる。
 公開された文書は2006年10月~21年7月までの128通。11年6月2日付の文書には、法令違反を繰り返す同社への措置命令発出を視野に入れた対応として、同社に弁明機会を与えた上で、回答がない場合は7月上旬に命令を発出するとしている。安全対策実施計画書の提出や実行、土砂搬入の中止など、具体的な措置内容を記した斉藤栄市長名の命令文書の案もあった。
 しかし、市は同社が11年7月から実施した防災工事などで「一定の安全が担保された」(斉藤市長)と判断し、命令発出を見送った。防災工事はその2カ月後に中止された。市によると、土石流発生までに命令発出の準備をしたのは、この1回だけだったという。
 公開文書では盛り土の安全対策を巡り、09年12月に県と市の担当者が協議し、「最悪のことを考えて、行政代執行、市がやる場合の調査(見積もり)を用意したほうがいいのでは」などと記された文書もあった。

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