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遺族ら「評価」と「憤り」 熱海盛り土資料公開 「徹底調査を」

 「(現旧土地所有者が)非常に悪質な業者だということが浮き彫りになった」「被害者に寄り添った対応とはまだまだ言えない」-。熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土を造成した業者などに対する静岡県や市の対応の経過が明らかになった18日。遺族や被災者でつくる「被害者の会」は公表資料の内容などに一定の評価をした上で、行政側の過失を改めて指摘し、今後のさらなる調査徹底を求めた。

静岡県と熱海市の発表を受け、記者会見する被害者の会の瀬下雄史会長(右)と弁護団の加藤博太郎共同代表=18日午後、東京都内
静岡県と熱海市の発表を受け、記者会見する被害者の会の瀬下雄史会長(右)と弁護団の加藤博太郎共同代表=18日午後、東京都内
静岡県の確認作業で版名したポイント
静岡県の確認作業で版名したポイント
静岡県と熱海市の発表を受け、記者会見する被害者の会の瀬下雄史会長(右)と弁護団の加藤博太郎共同代表=18日午後、東京都内
静岡県の確認作業で版名したポイント

 県と市の公文書公表を受け、都内で記者会見した瀬下雄史会長(53)=千葉県=は「公明正大といえる資料が出てきて安心した」と受け止めつつ、行政側には「重大な過失があったと言わざるを得ない」との考えを改めて強調。「責任を誠実に認めた上での総括が出てくることを切に願う」と語った。
 現旧所有者などへの損害賠償請求訴訟や刑事告訴に与える影響について、「資料から『加害者側』の悪意などが浮き彫りになった。われわれにとっては非常に有利な情報になる」と期待した。
 「責任追及に向け、大きく進める一歩になった」と捉えた弁護団共同代表の加藤博太郎弁護士は行政を提訴する可能性はあるとしながらも、「ただちに法廷で戦うというよりも、行政には真摯(しんし)な対応で被災者の救済をしっかり進めてほしい」と述べた。
 土石流で自宅を失った太田滋副会長(65)は斉藤栄市長が市役所で行った記者会見を傍聴し、「業者とのやりとりがもっと明らかになると期待していたので残念」と漏らした。次回の調査報告の時期などが明らかにされていない現状を挙げ「県と市で責任のなすりつけ合いをしている感じも否めない。被害者に寄り添うためにも、より具体的な説明を徹底してほしい」と願った。
 一方、現土地所有者の代理人は県と市の公文書公表などについて「現所有者への聴取を一切経ておらず誠に遺憾。指導に従い、盛り土の土地を購入してから土石流発生まで工事は一切していない」と反論する声明を出した。

 ■届け出時点で内容虚偽か 県と市 行政手続き確認
 熱海市伊豆山の大規模土石流で、県は18日、盛り土の造成に際して県と同市の行政手続きの確認結果を公表した。開発した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が2009年12月、市に提出した盛り土造成に関する計画の変更届で、県が土石流発生後に算出して判明した許容量の4~6倍を投入できるとする内容が示されていたことを明らかにした。
 盛り土を巡っては、県土採取等規制条例に基づき提出された計画の高さを大幅に超えて造成されていたことが既に判明しているが、届け出の時点でずさんだった可能性がある。県は届け出内容は虚偽だった疑いがあるとみている。
 難波喬司副知事が同日、記者会見して明らかにした。県によると、07年4月、同条例に基づく業者からの申請を同市が受理し造成が可能になった。しかし法令違反や工期が過ぎるなどしていたことから同市が指導した。
 これを受け、業者は計画の変更届を提出。工期を延長するなどした一方、盛り土の搬入量は約3万6千立方メートルとした。県が今年9月に地形から算出したところ、約6千~8500立方メートルしか入らないことが分かった。見落とされて受理されていた。
 現地では当初、宅地造成を計画していたが、08年9月、面積1ヘクタール未満の残土処理場として計画が変更された。高さや量が届け出を大幅に超える規模で、複数の業者が残土や廃棄物を投入していた。締め固められず、緩い状態で09~11年にかけて、盛り土の崩落が何度も起きていたという。
 確認作業で判明した事実については、今後発足させる検証委員会に報告し、年度内に結果をまとめる。難波副知事は「ずさんな届け出や工事をした業者に責任があるが、見抜けなかったところが(盛り土崩落に至った)一つの分水嶺(れい)と考えている。関係者への聞き取りなどを行い、検証する」と話した。

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