熱海盛り土の危険性 県庁内で情報共有されず 縦割り行政の弊害か
熱海市の大規模土石流を巡っては、逢初(あいぞめ)川の砂防ダム(容量約7500立方メートル)上流に3万6千立方メートルの盛り土をする計画が市に出されていた。ただ、静岡県が18日に公表した公文書では、砂防ダムを所管する県熱海土木事務所が盛り土造成後に現地確認をほとんどせず、盛り土の危険性を十分認識していなかった可能性が浮き彫りになった。
盛り土の行政手続きの権限を持つ同市は県の他部署と頻繁にやりとりしていたが、県の内部で情報が共有されず、縦割り行政の弊害が現れた格好だ。
県の公表文書によると、県側の対応で前面に出たのは廃棄物交じりの土砂を調べた県東部健康福祉センターや、林地開発許可を担当する県東部農林事務所で、砂防を所管する県熱海土木事務所は砂防ダム増強などの対策を取っていなかった。
難波喬司副知事は記者会見で「砂防ダムの容量をはるかに上回る量が盛り土されていれば、それが崩落することは考える必要がある」と述べ、関係職員への聴取や検証を今後進める考えを示した。