熱海市 盛り土業者への停止命令見送り 2011年 静岡県が文書公開
熱海市伊豆山の大規模土石流で、不適切に造成されて被害を拡大させたとされる盛り土を巡り、静岡県は18日午前、造成した業者や市などとのやりとりを記した公文書をホームページに公表した。熱海市との協議内容を記した2011年の文書では、市が造成業者に対し県土採取等規制条例7条に基づき、工事の停止命令を出す方向で検討していたことが明らかになった。市によると、最終的に命令の発出は見送ったという。

県の公表文書によると、県と市の担当者は11年3月17日、県庁で打ち合わせを行い、市建設課が「防災工事を完了させることよりも、直ちに土の搬入を中止させることの方がより重要だと考えている」と説明。県土地対策課は「直ちに停止命令を行うことが妥当と考える」と指摘し、市は「緊急の必要があるために直ちに停止命令を行う方向で検討する」と応じていた。
ただ、県の別の部署が同じ打ち合わせに関して作成した文書では、県側の見解として「緊急を要するものではない」「(条例ではなく)他法令での処分を検討していく方が望ましい」という記載もあった。
県が公表した公文書は02年12月から21年8月までの877通、計4293ページ分で、盛り土の造成に関する文書を中心に、周辺部の宅地造成や太陽光発電施設設置に関する文書も含まれる。
県は今年7月、関係法令の担当部署で構成する作業チームを設置し、職員の対応を調べ、資料の収集や整理を行ってきた。県と市が18日午後、それぞれ記者会見を開いて事実関係を説明する。