湧水戻し、新方策を JR東海社長意向 リニア大井川水問題

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、JR東海の金子慎社長は13日の定例記者会見で、貫通前の工事期間中に県外流出する湧水の戻し方に関し「理解が得られるような方策をさらに検討していかないといけない」と述べ、新たな方法も含めて解決策を模索する考えを示した。
 同社が2018年10月に県へ送付した文書に明記した「全量戻し」の対象に関しては「工事期間中の県境付近の水には焦点が当たっていなかった理解だ」と述べ、県とは認識が異なるとした。一方で「やらないと言っているわけではない」とも語り、県などの要請に応える姿勢を強調した。
 同社はこれまで、山梨・長野両県側から掘削する区間で貫通前に県外流出した水について、工事後に戻すと県などに提案してきた。これに対し、川勝平太知事は6日の記者会見で「(流域は)到底受け入れられない」と述べ、工事期間中も含めて湧水を大井川に戻さない限り、着工は認めない考えを示した。
 
 ■JR東海社長一問一答
 13日に行われたJR東海の金子慎社長の定例記者会見での主なやりとりは次の通り。
 ―リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に関し、川勝平太知事が工事期間中も湧水を大井川に戻さない限り着工は認めないとの見解を示した。
 「県内から流出した水をトンネルが貫通した後に戻す方法を、全量戻しの一つの方法として提起しているが、県は納得できないということだろう。理解が得られるような方策をさらに検討していかないといけない。そういう方向に向かって頑張っていく」
 ―JR東海が2018年10月に県へ送った文書の「全量戻し」に関し、工事期間中を含むかについて県と見解が異なっている。
 「当時は大井川の水の流量を減らさない目的で、全量を戻すと文書で回答した。工事期間中の県境付近の水には焦点が当たっていなかった理解だ。しかし、今は工事期間中に流れた水も戻すべきという要請を頂いている。あの時の文書があるからやらないと言っているわけではない」
 ―国交省の専門家会議の中間報告が次回会合でまとまる予定だ。受け止めを。
 「中間報告ができあがると、流域や地元の皆さんに話をしていく段階を迎える。一つ前に進むので、気を引き締めて一生懸命、地元の懸念を解消するように取り組んでいきたい」

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ