テレワーク 企業生産性向上、採用でもメリット 環境整備が加速

 新型コロナウイルス禍でテレワークを導入した浜松市内の企業が、コロナ収束後を見据えて働き方の柔軟性を広げている。社員がより快適に働ける環境を整え、生産性の向上や採用面での強みにつなげる。

広々としたコワーキングスペースを利用し、業務に当たるソミックマネジメントホールディングスの社員=1日、浜松市中区板屋町
広々としたコワーキングスペースを利用し、業務に当たるソミックマネジメントホールディングスの社員=1日、浜松市中区板屋町

 10月初旬、同市中区のコワーキングスペース。静かで開放的な共同利用のオフィス空間でパソコンに向かうのは、同市南区に拠点を置く自動車部品メーカーのソミック石川グループで経理などを担うソミックマネジメントホールディングスの社員らだ。同社は9月、同施設を運営するデクシィ(同市東区)と法人契約し、約200人が中区と東区のコワーキングスペースを利用できるようにした。
 テレワーク対象の社員は南区の本社や自宅など4カ所から、都合に合わせて働く場所を選択できる。在宅勤務の環境が不十分な社員を考慮し、選択肢を増やした。グローバル財務経理部の中野知也さん(41)は「自宅から本社へ行くより近く、自宅より確実に集中できる」と利点を語る。
 石川彰吾取締役(43)は「いかに能力を発揮できる環境をつくるかが大事」と説明する。静かな環境で考え事をする場合はコワーキングスペース、社員とコミュニケーションを図りたい時は出社するなど、自身も目的に合わせて使い分けている。
 テレワーク関連情報をまとめた浜松市のポータルサイトを委託運営するウィーウィル(同市中区)は、自社でも新たな働き方を実践する。2月に就業規則を改正し、リモート勤務に加え、勤務時間のコアタイムを定めないフレックス制度を導入した。全10人の従業員は、月に1度の対面の会議以外は自宅かオフィスで自由に働く。
 リモート勤務の課題とされる社員間のコミュニケーションには社内SNSなどのツールを導入して対応する。杉浦直樹社長(46)は「コロナ禍でなし崩し的に始まったテレワークだが、社員が最大のパフォーマンスを発揮できる環境を設計した」と話す。採用面でも、都内から若年層の応募が見られるなど効果が現れているという。
 
 ■実施率 静岡県22位
 コロナ禍でのテレワークの実施率は地域差が大きい。パーソル総合研究所(東京都)が7月30日~8月1日に行った調査によると、都道府県別で最も実施率が高いのは東京都で47.3%。静岡県は14.3%で22位だった。
 コワーキングスペース運営などを手掛けるデクシィ(浜松市東区)の杉田策弘社長(44)によると、首都圏の企業でテレワークが浸透する中、浜松市内に住み続けながら都内企業に転職し、フルリモートで勤務するケースも出てきているという。
 杉田社長は労働力が首都圏に集中する可能性を懸念し、「今の労働力をつなぎ止めるには、企業が新しい働き方に挑戦する必要がある」と話す。

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