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特集 : こち女

ひとり親の命綱 食料支援急増「非正規にツケ回さない社会に」

 新型コロナウイルス流行の長期化で、ひとり親への食料支援の需要が県内で急増している。背景にあるのは非正規労働者の雇用環境の悪化。特に女性のひとり親世帯は非正規雇用の労働者が多く不安定で、コロナ禍で失業するなど大きな影響を受けている。参院選静岡選挙区補欠選挙と衆院選が続く中、社会のセーフティーネットの充実と労働環境の改善をどう図るか、シングルマザーは切実な思いで一票を託す先を見定める。

密を避け、公共施設の駐車場で開かれる食料配布会。希望者の増加に伴い、準備する物資の量も増えている=9月中旬、沼津市内
密を避け、公共施設の駐車場で開かれる食料配布会。希望者の増加に伴い、準備する物資の量も増えている=9月中旬、沼津市内

 「支援を受ける前は息子に食べさせるため、自分はずっと食事の量を減らしていた」。高校生の長男と暮らす沼津市の女性(39)はコロナ禍で接客を伴う飲食業の仕事が減り、ガソリンスタンドのパートに転職したが、収入は大きく下がって生活は厳しい。
 沼津市ひとり親会は昨年10月から、市民団体などの協力を得て週1回、食料配布会を開いている。口コミで情報が広がり、会員数はコロナ以前と比べ約3倍の115世帯に急増した。会員の困窮状況を聞き取り、生活支援制度につなげる活動にも取り組む。
 同市の事務職の女性(52)は一人娘の中学生の教育資金が不安で「高校進学を控え、支出が増加しそう。安心して高等教育を受けさせられる世の中にしてほしい」と要望する。活動を支えるボランティアグループ「サポぬま」の小和田尚子さんは「同じひとり親でも男性は収入がある場合が多いが、女性が生きていくのは難しい。生活再建のため、定期的な給付金は不可欠だ」と訴える。
 17年から延べ千世帯以上の希望者に支援してきた静岡市の団体「シングルペアレント101」の利用者も女性の非正規雇用者が多い。昨年7月に申込件数が前月比20倍の200件を超えて以降、同規模の配布が続く。
 子ども2人を育てながら静岡市葵区の食品店でパート労働する女性(42)は昨年、雨の日に「客が来ないから退勤して」と言われ、早退した分月収を減らされた。月収は12万で、家賃や光熱費を差し引くと生活費はぎりぎりの状態だ。
 同団体の田中志保代表は「コロナ禍のあおりが非正規雇用者を直撃する一方、企業の内部留保は最高を更新している。コロナのツケを回さない政治をしてほしい」と厳しい目を向ける。
 (社会部・大須賀伸江、大滝麻衣)

 <メモ>総務省の労働力調査によると、2020年の非正規雇用者数は19年から75万人減った。今年の月別に見ると、4~7月は前年同月を上回ったが、感染者が急増した8月には再び10万人減に転じた。コロナ禍が深刻化すると、非正規雇用者が減る―という実態がうかがえる。

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