盛り土新条例案 土地所有者に“監視”義務 静岡県方針

 熱海市伊豆山の大規模土石流で被害を拡大させたとされる盛り土の規制強化を巡り、県の上原啓克土地対策課長は8日の県議会建設委員会で、新たに制定を目指す条例で土地所有者の義務を定める方針を明らかにした。土地所有者に不適切な盛り土を造成させない監視の役割を課すのが狙い。定期的な施工状況の確認と、許可内容と異なる施工を確認した場合の県への報告などを義務化する。

盛り土の規制を強化する新条例案の主な内容
盛り土の規制を強化する新条例案の主な内容


 現行の県土採取等規制条例には土地所有者の義務が明示されていない。新条例案では、許可申請する業者に土地所有者の同意書の提出を求め、土地所有者に義務付ける事項を確認させる。上原課長は「(施工業者に)土地を貸す土地所有者にも責任を持って盛り土を監視してもらう」と趣旨を説明した。
 県によると、新条例案では、業者が不適切な工法で盛り土を造成し、県による工事中止や撤去の命令に従わない場合、土地所有者に命令を出して是正させることも盛り込む。土地所有者も命令に従わない場合は土地所有者を含めて罰則を科す内容とする方針。
 これまでの県などへの取材によると、熱海市伊豆山の土石流で起点になった盛り土は、前の土地所有者だった神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が届け出の3倍を超える高さに造成したとみられ、土地はその後の2011年2月、現在の土地所有者に売却された。土地所有者の変更で、責任の所在が曖昧になったとする見方もある。
 県は同委員会で、一定規模以上の盛り土を許可制にする▽技術基準を定める▽地方自治法で認められる最も重い罰則にする―など新条例案の主な内容を示し、来年7月の施行を目指すと説明した。
 (政治部・大橋弘典)

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