悲劇繰り返さないで 熱海土石流 発生から3カ月

 26人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から3カ月がたった。現場の復旧や被災者の生活再建には課題が山積し、二次災害への不安もつきまとう。現場付近を訪れた遺族や被災者は「二度と同じ悲劇を繰り返さないでほしい」と願いながら、犠牲者を悼んだ。

土石流発生から3カ月を迎え、被災地に向かって黙とうする被害者の会の会員=3日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山
土石流発生から3カ月を迎え、被災地に向かって黙とうする被害者の会の会員=3日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山


 7月3日に土石流発生の第一報が消防にあった午前10時28分に合わせて、遺族や被災者らでつくる「被害者の会」の約30人が現場付近で黙とうをした。
 母親(77)を亡くした瀬下雄史さん(53)は「あっという間の3カ月だった。母が見つかるまでが一番苦しかったので、(行方不明者の)太田和子さんのご家族は今も苦しい思いをしていると思う。一刻も早く見つかってほしい」と願った。
 自宅が全壊し、神奈川県湯河原町の応急仮設住宅に転居した太田滋さん(65)は「まだスタートラインに立っていない気持ち。なぜこんなことになったのか、はっきりさせてほしい」と訴えた。
 県外在住の遺族も現地を訪れた。長女の臼井直子さん(38)を亡くした岐阜県大垣市の臼井博彦さん(63)は「大切な娘を奪われた原因を知りたい。心の傷が癒えることはない」と語り、現場に向かって手を合わせた。
 父親を亡くし、兵庫県から駆けつけた男性(33)は「父は土砂の中でどんなに痛く、冷たい思いをしたのだろうか。まだ気持ちの整理がつかない」と声を振り絞った。その上で「県外には現地の情報が届きにくい。行政は現場の進捗(しんちょく)状況などをこまめに伝えてほしい」と話した。
 (熱海支局・豊竹喬、社会部・荻島浩太)

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