静岡出身のオルガン奏者 大木麻理 バッハ全曲演奏に挑戦

 国内外で活躍する静岡市出身のオルガン奏者大木麻理が、バッハによるオルガン作品の全曲演奏に挑む。同市葵区の静岡音楽館AOIで8日にスタートするシリーズは、10年を超える壮大な構想。「バッハの曲に一生をかけて向き合っていくという思い。故郷の人たちと一緒に完奏したい」と腕をまくる。

「聴いてくれる人の集中力も続くように、毎年楽しみにしてもらえる公演にしたい」と話す大木麻理=静岡市駿河区の静岡新聞放送会館
「聴いてくれる人の集中力も続くように、毎年楽しみにしてもらえる公演にしたい」と話す大木麻理=静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 バッハのオルガン曲は約250曲。母親もオルガンを弾く大木にとっては「子どもの頃からバッハ全集が家にあった。自分も本格的に習い始める中で、いつか弾くことになると漠然と思っていた」。
 東京芸術大音楽学部を首席で卒業し、本場ドイツに留学。現地の国際コンクールで優勝し、現在はミューザ川崎シンフォニーホールのホール奏者を務める。音楽家としての活動が充実する中で、温めてきた企画を具体化した。
 バッハ自身のリサイタルに基づくプログラム。改めて取り組む練習は「知るほどに追い込まれ、さらに魅力に取り付かれるという繰り返し。どの曲も妥協が許されない」と追究を重ねる。「トッカータとフーガ」「目覚めよと呼ぶ声あり」などの代表曲が中心の初回は「宝石箱」がテーマ。2回目以降も「両親との別れ」「充実」「集大成」などの鍵となる言葉がある。
 AOIのパイプオルガンは開館当時、市民見学会で触れた縁のある楽器だ。「『音楽の父』の楽曲と、自分の源流でもあるオルガンが交わるのが楽しみ。挑戦を通じて、また違う世界が見えたらいいな」
 午後7時開演。チケットは一般3千円、学生2千円。全席指定。未就学児は入場不可。問い合わせは実行委員会<電054(237)3627>へ。
 

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