濃厚接触者調査 8、9月業務逼迫で縮小判断 クラスター認定に差

 全国で新型コロナウイルスの感染者数の過去最多更新が相次いだ8月から9月にかけて、静岡県内複数の保健所が一時的に濃厚接触者の積極的疫学調査の対象範囲を縮小していたことが21日までに、県や保健所などへの取材で分かった。5人以上の感染者がいてもクラスター(感染者集団)に認定されないケースもあった。

積極的疫学調査の対象範囲(富士保健所)
積極的疫学調査の対象範囲(富士保健所)

 国は6月以降、保健所業務逼迫(ひっぱく)の緩和や行政検査の迅速化のため、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域では感染者が確認された事業所が濃厚接触者の候補の範囲を特定できる、との通知を出した。これを受けて第5波では、東京都、神奈川県などが調査対象範囲を縮小した。
 静岡県によると、感染状況に地域差があった本県内では、保健所ごとの判断で縮小するか否かを決めた。少なくとも県管轄では中部、東部、西部、富士の保健所が調査範囲を縮小したという。静岡市保健所も縮小したとみられる。新規感染者数の減少に伴い、通常の運用に戻すもよう。
 調査対象範囲の縮小で、同一保健所管内でもクラスター認定に差が生じた。富士市内では17人が感染した放課後児童クラブと病院はクラスターとして公表された。一方、13人が感染した公立保育園や、5人以上の感染を自主的に発表した複数の事業所はクラスター認定されなかった。
 管内で最大1日100人の感染者が出た県富士保健所は9月初旬から、重症化リスクのある医療機関や障害者施設、高齢者福祉施設に調査対象を絞った。民間への行政検査委託ができるようになり、検査の遅延を回避する狙いもあったという。それ以降は、感染者発生の連絡を受けた各事業所が濃厚接触者の候補を選定し、民間医療機関で検査を実施。陽性の場合は発生届が提出された。
 同保健所によると、発生届だけでは関連性が確認できず、クラスターの判断は難しいという。クラスターとして発表された児童クラブは、濃厚接触者の候補の名簿を保健所に提出していた。
 県担当者は「急激な拡大となった第5波では、入院調整や健康観察など優先すべき業務があり、対象の縮小をせざるを得なかった。今後の体制整備を検討したい」と話した。
 感染経路の追えない感染者が増える中、専門家からはクラスター対策への認識を改めるべきとの意見もある。静岡市立静岡病院感染管理室の岩井一也室長は「クラスター調査は保健所のマンパワーがあってこそ実効性が保てた。どこにでも患者がいる可能性のあるまん延期に特定の集団を見つけても感染抑制への意義は低い」と指摘する。
 

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