熱海・土石流被災地の課題 調整役の人材育成急務 静岡県被災者支援コーディネーター/鈴木まり子氏【本音インタビュー】

 7月に熱海市伊豆山地区で発生した大規模土石流の被害を受けて静岡県から委嘱され、現地で被災者の生活再建に奔走する。過去の災害ボランティア経験を生かし、本年度末まで被災者と行政、ボランティア団体の橋渡しを務める。被災地の課題と現状を聞いた。

鈴木まり子氏
鈴木まり子氏

 -支援の内容は。
 「県からはまず、避難所を被災者中心で運営できるように支援を依頼された。発生から4日後にホテルで自治会役員や民生委員と会議を開き、避難所内の困り事を聞くと『みんなで集まる場がほしい』といった要望が出た。熱海市や県社会福祉協議会に掛け合い、情報共有に使うホワイトボードなどの資材の確保や、避難所内での行事の企画を手助けした。避難所の食堂までの移動が難しい高齢者に弁当を配ったり、運動不足を解消する健康体操の運営を手伝ったり、被災者同士で支え合いの輪が広がった」
 -今後の課題は。
 「避難所から市内外の公営住宅や民間賃貸住宅に移ったことで、被災者からは『支援情報を入手しづらくなるのでは』『避難先の地域になじめるか』といった不安の声を聞く。新型コロナウイルス感染防止のため地域の集会所の利用が制限され、避難先の住民と打ち解ける機会が少ないという事情もあるようだ。災害関連死を防ぐため、今後は熱海市社協を中心に運営を始める支え合いセンターが、見守り活動を行う」
 -コーディネーターはなぜ必要か。
 「被災者側の生活要望も、支援する側の提案のいずれも、細かく多様化している。例えば子育て中の母親が『支援物資としておむつのSサイズが欲しい』と求めたり、ボランティア団体が『子育て世帯の被災者に役立ててほしい』と使途を限定した形で寄付を申し出たりする。こういった対応を行政が一手に引き受けるのは現実的ではない。静岡県が被災地全体の調整を図るコーディネーション職を設置したのは今回が初めてと聞く。広域災害に備え、県として制度化や人材育成に取り組んでほしい」
 -求められる資質は。
 「被災者の支援ニーズのつなぎ先をよく知っている人材が適している。東日本大震災や2016年の熊本地震など、過去の支援でつながった自治体やボランティア団体の協力は熱海でも生かされている。コーディネーターを担える人材は県内に豊富にいると思う」
   
 すずき・まりこ 浜松市の企業有志でつくる災害支援グループ「はままつnanet(ナネット)」の事務局長。話し合いを円滑化するファシリテーターとして、企業や自治体の会議進行を手伝う。61歳。

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