新型コロナ後遺症 生活に影 自宅療養終えた女性「今ものど燃えているよう」

 デルタ株の感染拡大に伴う新型コロナウイルス第5波の新規感染者が減少に転じる一方、合併症による後遺症に悩む人が後を絶たない。体の不調が続くだけでなく、職場復帰できずに生活面でも苦境に陥るケースもある。母子家庭で、都内で暮らす大学生の一人息子に仕送りする静岡県東部在住の女性(51)が17日までに、感染して自宅療養した際の不安や後遺症の苦しみを語った。

コロナ後遺症専門外来で診療の準備をする看護師=16日、富士市中之郷の共立蒲原総合病院
コロナ後遺症専門外来で診療の準備をする看護師=16日、富士市中之郷の共立蒲原総合病院

 「今ものどが燃えているよう。せきが止まらない」。女性は8月中旬に陽性判定が出て、自宅療養になった。観察期間を終え、職場復帰するつもりだったが、後遺症で療養を続けている。
 最初に異変を感じたのはチクチクとした左半身の痛み。37度台の微熱だったが、保健所の指示に従って近くの病院を受診すると血中酸素濃度が低かった。ただ、PCR検査は陰性で帰宅を促された。
 翌日、痛みがひどくなり、再び保健所に電話して別の病院で抗原検査を受けると陽性の判定だった。しかし、鎮痛剤とせき止めを出されただけ。別の医療機関でのCT検査で肺炎の発症が分かったのはさらに翌日だった。
 自宅療養中はずっと微熱で、県から毎日かかってくる健康観察の電話で症状のつらさを訴えたが、「『何かあったら救急車を呼んで』と言うだけ。苦しくて不安でたまらなかった」と打ち明ける。
 2週間たって自宅待機解除の連絡があったが、せきに加えて強い倦怠(けんたい)感と下痢が続き、髪の毛も大量に抜けた。1カ月が過ぎても、とても職場に戻れる状況ではなく、「大学の後期分の授業料を払わないといけないが、どうやって工面しようか」と悩む。
 10年以上前に離婚してから懸命に働き続け、今年5月からはダブルワークをこなしていた。感染経路は不明だが、行動履歴から職場で感染した可能性が高いと考えている。「免疫力が下がってコロナにやられたのかな。でも息子を社会に出すまで、働かないと。まだ死ねない」。いつ終わるのか。後遺症との戦いにも前を向く。
 
 ■蒲原総合病院で診療に当たる土田知也医師 若年層に多く 深刻化懸念
 5月中旬に新型コロナウイルス後遺症専門外来を開設した共立蒲原総合病院(富士市中之郷)で、診療に当たる聖マリアンナ医科大総合診療内科助教の土田知也医師(39)に現状と課題を聞いた。
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 後遺症は軽症であっても3~4割の人に出るとされている。倦怠(けんたい)感が代表的な症状で、1カ月ほど続いてだんだん落ち着くケースが多いが、長引く人もいる。後遺症は若年層に多い印象がある。「第5波」は若者の罹患(りかん)者が多数を占めた。今後、後遺症に悩む人が増加し、事態が深刻化するのではと懸念している。
 現在、定まった治療法はないが、自律神経のバランスが崩れて脈が早くなり、少し体を動かしただけで全力疾走したようなだるさが出る場合がある。まだ経験則だが、脈を抑える薬を使うことで、だるさが取れることが分かってきている。各地域の医師会などに成果を伝え、後遺症に対応する医師を増やしていきたい。治療法を確立するため、国のプロジェクトとして取り組むべきだと考える。
 社会的な理解も重要だ。多くの人に後遺症が出ることを周りが理解し、社会復帰を支えたい。生活に困る人もいるはずで、国として保障を考えることも必要ではないか。

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