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富士川水系 流水と泥から劇物検出 静岡・山梨両県が発表

 採石業者ニッケイ工業が駿河湾のサクラエビ主産卵場に注ぐ富士川水系で続けた高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の不法投棄問題で、凝集剤由来の劇物アクリルアミドモノマー(AAM)の拡散状況を調べた静岡、山梨両県は17日、今夏の調査結果を発表した。国とも協力して実施した流域15カ所のうち、3地点計4サンプルから検出した。
 検出したのはいずれも山梨県内の富山橋付近の2サンプル(流水と川底の泥両方)、南部橋付近1サンプル(流水)、十島せき付近1サンプル(泥)。県生活環境課の担当者は「人や生物への影響を考慮した指標を下回っている」と述べた。
 両県は今夏、凝集剤成分の一つアクリルアミドポリマー(AAP)が紫外線で分解されて生じるAAMについて、不法投棄地点の下流6カ所と「対照地点」としてそれ以外の5カ所の計11カ所を調査した。加えて、国交省甲府河川国道事務所が不法投棄地点下流の富士川本流の計4カ所で流水と泥からAAM検出試験をした。
 両県と同事務所が分析したのは各地点流水200ミリリットル、泥10グラム。流域面積に対して少量にとどまるため、専門家から「結果は流域全体の安全性を保証するものには到底なり得ない」と手法自体に批判があった。
 山梨県は8月下旬、2009年9月から19年5月までの約10年間にAAPのほか、さらに魚毒性の高い凝集剤計18・6トンが河川に流出した、と発表した。
 両県は今秋以降、泥中のAAPの残留状況を調べる方針。魚毒性の高い凝集剤の拡散状況の調査は、「検討中」としている。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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