自宅療養者支援 地域の医師、積極関与 患者の不安解消に貢献

 新型コロナウイルスに感染した自宅療養者の健康観察や意向調査、往診などについて、地域の医師会や医療機関が支援を強化する動きが静岡県内で広がっている。保健所の一部業務に協力し、地元の医師が直接関わることで、住民の不安解消や迅速な治療につながっている。

自宅療養者や同居家族の健康観察を電話で行う鈴木研一郎院長。感染対策もアドバイスする=9月上旬、静岡市葵区(写真の一部を加工しています)
自宅療養者や同居家族の健康観察を電話で行う鈴木研一郎院長。感染対策もアドバイスする=9月上旬、静岡市葵区(写真の一部を加工しています)

 「調子はどうですか。呼吸はつらくないですか」「食事はしっかり取れていますか」。鈴木内科医院(静岡市葵区)の鈴木研一郎院長は午後の診療前の1時間を使い、自宅療養中のコロナ患者や濃厚接触者に当たる同居家族に電話で体調を確認している。
 息苦しそうに話す患者をすぐに入院につなげたこともあった。鈴木院長は「(電話のやりとりで)患者の変化を察知できる。家族の感染対策も含めて医療的なアドバイスが直接できるのは大きい」と実感する。
 感染した家族の濃厚接触者となり、自宅待機をした静岡市内の男性(54)は「いつ発症するのか不安だったが、先生から毎日連絡をもらえるだけで安心できた」と話す。
 静岡市静岡医師会と同市清水医師会は3月から、自宅療養者と発症者の同居家族の健康観察に取り組んできた。当初は保健所が患者と医療機関のマッチングを行う体制だったが、8月以降は自宅療養者の急増で運用が困難になったことから、体制を変更。医師が診断時、患者に同居家族を含めた健康観察の同意を得ることで陽性判明の日から健康観察が始められるようになった。保健所は疫学調査に注力できているという。
 市内の自宅療養者は約500人。約70医療機関が協力しているが、一層の参加が課題となる。鈴木院長は「皆で当たらないと感染拡大期の適切な対応は難しい。できる範囲で医療機関の協力を求めたい」と訴える。
 県所管地域では8月から、急変や悪化リスクがあると判断した患者には、協力医療機関が保健所から引き継いで健康観察や往診などに対応する体制を取った。浜松市は往診や外来に対応する医療機関に協力金を交付し、支援を強化する。
 ■自宅療養者家族 保健所から連絡なく不安募る… 医師とつながり「安ど」
 「保健所からの連絡がしばらくなく、心配が募った。間接的でも医師とつながったことで、すごく安心できた」。陽性となった子どもの濃厚接触者として自宅待機した静岡市内の女性は14日までに取材に応じ、医師の存在の大きさを感じた経験を振り返った。
 8月下旬、中学生の息子が陽性で自宅療養となり、家族3人も自宅待機になった。保健所からの連絡は2日間なく、「息子がもし急変したらどうすればいいのか、不安で仕方なかった」。
 保健所による健康観察は毎回違う職員で、息子と家族でも担当者は異なった。保健所の多忙さは理解していたが、「安心できる答えは得られなかった」。そんな中で不安を解消できたのは、友人を介してつながった医師の存在。会員制交流サイト(SNS)で医師に体温や血中酸素濃度などを伝え、症状を確認してもらった。「子どもは大丈夫」。医師から受け取ったメッセージを何度も読み返して心の支えにした。女性は「陽性と分かった当初が本人も家族も一番不安。医師とつながれることほど心強いことはない」と語った。

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