河川環境、憂う住民多く 日軽金、水利権縮小へ 再生の道のり険しく【サクラエビ異変 母なる富士川】

 「時計の針が逆回転し始めた」―。日本軽金属波木井発電所の巨大水利権について見直しの機運があることに対し、そう感慨を語る流域住民がいる。富士川の場合、「河川維持流量」がないなど課題は山積。河川再生までの道のりは依然として険しいのが実情だ。

 ■住民からは請願
 巨大水利権を巡り6月、富士宮市の林業家でサクラエビ漁師の男性(49)が流量増のための意見書採択を求める請願を行い、市議会は可決した。サクラエビ主産卵場に流れ込む富士川。男性は「日光が当たらない導水管を通ってきた水に栄養はない」と強調する。
 日軽金は7月に市内で開いた住民説明会で、売電を否定したとも取られかねない回答に終始。資源エネルギー庁のガイドライン違反の可能性があり、「火に油を注いだ」との指摘も出た。

 ■維持流量なし
 富士川の流量は、「渇水期でも最低維持すべき流量」である河川維持流量が設定されていない。下流では出水期、本流と同程度の取水が歴史的に許可されてきた。国の河川整備計画には「発電用水は富士川に戻されることなく駿河湾に放流されており中下流部の流量に影響を与えている」とあり、維持流量設定には、日軽金の巨大水利権の“壁”がある。甲府河川国道事務所幹部は水利権問題について「問題が『大きすぎ』て事務所単独では対応できない」とした。

 ■7割が問題視
 富士川水系では、日軽金雨畑ダムの堆砂問題や、ニッケイ工業の凝集剤入り汚泥の不法投棄問題など、日軽金が河川環境に与えるインパクトは大きい。
 静岡新聞社が昨秋、複数の職域に対して紙媒体などで実施したアンケートでは、流域600人以上のうち実に約7割が河川環境が「悪い」「非常に悪い」と答えている。
 

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