自転車女子ロード「金」 杉浦に薬剤師の顔 恩返し「皆に健康を」

 「期待に応えたい気持ちは今までで一番強かった」。31日、東京パラリンピック自転車女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~3)を制した杉浦佳子(50)=楽天ソシオビジネス、掛川西高出=はレース後、支えてくれた人々への感謝の言葉を並べた。

自転車女子個人ロードタイムトライアル日本最年長での金メダルの獲得が決まり、関係者らに手を振る杉浦佳子=31日午前、小山町の富士スピードウェイ(写真部・二神亨)
自転車女子個人ロードタイムトライアル日本最年長での金メダルの獲得が決まり、関係者らに手を振る杉浦佳子=31日午前、小山町の富士スピードウェイ(写真部・二神亨)
録画中継を見て杉浦佳子選手のメダル獲得を喜ぶ良子さん(右)と栄さん=31日午後7時10分、掛川市中
録画中継を見て杉浦佳子選手のメダル獲得を喜ぶ良子さん(右)と栄さん=31日午後7時10分、掛川市中
自転車女子個人ロードタイムトライアル日本最年長での金メダルの獲得が決まり、関係者らに手を振る杉浦佳子=31日午前、小山町の富士スピードウェイ(写真部・二神亨)
録画中継を見て杉浦佳子選手のメダル獲得を喜ぶ良子さん(右)と栄さん=31日午後7時10分、掛川市中

 掛川市内で小さな薬局を経営する両親のもとで生まれ育った杉浦は、北里大薬学部を卒業後、都内の薬局に就職。在宅医療の現場で、服薬指導などに携わってきた。薬剤師の顔を持つ金メダリストは将来、パラアスリートの経験を生かし、社会の健康促進に貢献したいと夢を抱く。
 杉浦が医療や健康管理の重要性を再認識したのは約5年前。トライアスロンのレース中の事故で脳挫傷を負ったことがきっかけだった。主治医の迅速な対応で一命を取り留め、理学療法士や言語聴覚士の懸命なサポートで後遺症の高次脳機能障害を徐々に克服。こうした専門家の支えがあって、パラアスリートになる道が開けた。
 競技生活でも何度も大けがを負ったが、トレーナーの存在が大きな支えになった。恩返しの意味も込め、「リハビリや練習で蓄積した知識、経験をいつか多くの人に伝え、社会に還元したい」との思いを強くした。
 杉浦は医療が充実した現代社会に対し、思うところがある。「高齢者や障害者が病院や薬に頼りすぎて運動機会が極端に少ない」。自身が自転車型トレーニング器具を使ってリハビリ治療をした経験から、今後は「自転車を活用した有酸素運動などもレクチャーしていきたい」と語る。
 「みんなが元気に長生きできるように、健康寿命を伸ばす取り組みをやっていきたい」。50歳の女王は大きな目標を追い続ける。
 (社会部・市川幹人) 
 
 ■事故から5年「よかった」 掛川、御前崎の家族喜び
 東京パラリンピック自転車女子個人ロードタイムトライアルで金メダルを獲得した杉浦佳子選手(50)の家族は31日、地元・掛川市などで喜びを分かち合った。
 薬剤師の杉浦選手の実家は、母良子さん(75)が営む同市中の杉浦薬局。良子さんは仕事の合間にパソコンでネット中継を見て優勝を知った。事故に遭って5年。「よくがんばったなあ。あそこまで復活してよかった」。薬局の営業終了後はテレビの録画中継を見た。ゴール手前の直線で立ちこぎをする杉浦選手を見て「負けん気の強い顔をしてたね」と笑った。
 良子さんと父栄さん(82)のもとには近所の市立中(なか)小の児童から手作りの金メダルと「おめでとうございます」と書かれた手紙が届いた。栄さんは「トラックで4位、5位の結果だったからメダルを取り感動した。中小の子どもたちに見せてあげたい」と話し、地元の応援に感謝した。
 御前崎市内で薬局を経営する妹の敦子さん(48)も勤務中に朗報を受け取った。2004年の開業から1年間は杉浦選手が仕事を手伝ってくれた。薬剤師としても尊敬する姉の快挙に、「本当にほっとした。インタビューで『良かった』を繰り返す姉を見て、私も『良かった』と思った」と笑顔を見せた。
 (掛川支局・伊藤さくら、御前崎支局・木村祐太)
 
 ■強い信念と努力
 川勝平太知事の話 4年前にパラ自転車に参戦して以降、強い信念と努力でパラアスリートとしての道を切り開き、念願の金メダリストになった。厳しい道のりを歩まれてきた杉浦佳子選手の競技に臨む姿勢は、県民に勇気と感動を与えた。

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