日軽金の水利権縮小へ 1世紀ぶり見直し【サクラエビ異変 母なる富士川】

 国の制度を使った売電が発覚したアルミ加工大手日本軽金属波木井発電所(山梨県身延町)が水利権更新期限から約1年半にわたり国の許可を得られないまま稼働している問題で、所管する国土交通省と日軽金が水利権の縮小や再編に向け協議に入ったことが、31日までの複数の関係者への取材で分かった。国は日軽金が富士川水系に持つ水利権全体の見直しも視野に入れる。

1世紀ぶりに水利権が曲がり角を迎えた波木井発電所(左奥)=29日、山梨県身延町(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
1世紀ぶりに水利権が曲がり角を迎えた波木井発電所(左奥)=29日、山梨県身延町(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)


 前身を含め大正期から富士川水系をほぼ独占してきた日軽金の“巨大水利権”に、1世紀ぶりにメスが入りそうだ。流域住民など関係者が注視している。
 日軽金が同水系に持つ六つの発電所のうち最古の同発電所の水利権は、100年以上にわたり毎秒30トンの取水を認められてきた。同発電所は静岡新聞社の取材で、国の「固定価格買い取り制度(FIT)」を使った売電の実態が判明した。2020年3月末に更新期限を迎えたが国会で取り上げられるなど問題視され、許可が下りない異例の状況になっている。
 日軽金は水利権の更新に向け、FITによる売電を前提に従来同様の毎秒30トンの許可を国交省に申請した。山梨県から照会を受けた地元3町のうち、早川からの取水の多さに反発した早川町が、おおむね毎秒1トンの水を追加放流するよう要求、南部町は地元に説明なく行われていた売電行為に疑義を投げ掛けた。山梨県は今春、富士川水系の流量増を国に求めた。国交省は自治体へのヒアリングなどを実施し協議を本格化させる方針。
 一方、富士川本流には波木井発電所とは別の発電所に導水するえん堤などがある。それらで上限に近い取水が行われた場合、下流側の河川流量は増えない可能性がある。国交省関係者は「(同発電所と連動して)富士川水系の水利権全体を見直す必要がある」と述べ、他の発電所の水利権も再編の対象となる可能性を示唆した。
 日軽金蒲原製造所は31日、波木井発電所の水利権見直しについて「申請中の内容につき、回答は差し控える」とコメントした。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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