テーマ : 熱海土石流災害

ボランティアの健康見守る 熱海土石流現場で看護師有志「救護班」、熱中症対策など奔走

 大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山で復旧支援に汗を流すボランティア。その健康を支えているのが、市災害ボランティアセンター内に編成された看護師有志でつくる「救護班」だ。8月上旬の発足以来、連日現場に同行し、熱中症や新型コロナウイルス感染の防止に奔走している。

ボランティアから体調を聞き取る看護師=21日、熱海市伊豆山
ボランティアから体調を聞き取る看護師=21日、熱海市伊豆山

 センターは現在、捜索活動の進捗(しんちょく)などを踏まえて活動場所を逢初(あいぞめ)川下流部の浜地区に限定している。参加者は事前登録した市民998人のうち1日20人に絞り、民家に流入した泥をかき出している。
 力仕事が中心のためボランティアは男性が優先されているものの、高温多湿の中での作業は過酷。体調悪化を防ごうと、センターは看護師の資格がある人材に協力を呼び掛けた。
 21日に現場で見守った長津広美さん(48)は「マスクに長袖長ズボンでの作業は発汗が多い上に体の熱が逃げず、気温以上に熱中症の危険が高い」と顔色などの変化に目を光らせた。
 救護班は10分ごとに休憩を取るなど時間管理も徹底し、水分と塩分の補給を促す。手洗い場では消毒用アルコールを手に爪の間の泥まで洗い流すように指導。緊急時には救急搬送の必要性の判断や応急処置なども担う。
 時には、作業に没頭しがちなボランティアのブレーキ役になることも。民家の泥だしに汗を流していた神谷修治さん(67)は「被災者の力になりたい思いが先行してしまい、気付いたら汗だく。看護師さんと話していると落ち着きを取り戻せる」と信頼を寄せる。
 救護班は7人でシフトを回し、現場に常に1人いるようにしている。センターの原盛輝副センター長は「完全復旧が見通せずボランティア活動は長期化が見込まれる。人員の拡充が急務」と話した。

いい茶0

熱海土石流災害の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞