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魚毒性凝集剤が流出 不法投棄、汚泥に18トン 山梨県発表「信ぴょう性高い数値」【サクラエビ異変 母なる富士川】

 サクラエビ主産卵場の駿河湾奥に注ぐ富士川の中下流域に大量の粘着性汚泥が堆積している問題を巡り、実態調査に当たっている山梨県は24日、富士川水系の雨畑川(山梨県早川町)で汚泥の不法投棄を続けていた採石業者が魚毒性の高い凝集剤を混ぜていたと明らかにした。長崎幸太郎山梨県知事が記者会見で説明した。不法投棄された高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の大半が流出し、総量は3万立方メートルに上るという。汚泥に混ぜられ流出した凝集剤の総量は18・6トンだった。
 不法投棄していたのはアルミ加工大手日本軽金属が出資する採石業者ニッケイ工業。魚毒性物質の流出が判明し、サクラエビ漁業関係者らから不漁との因果関係究明を求める声が上がりそうだ。
 調査対象となった2009年9月から19年5月までの約10年間に発生した砂利採石汚泥の総量は、同社の報告によると3万5840立方メートル。うち行政指導で回収した野積み分などを除き、流出は85・5%に上る3万640立方メートルと推計した。
 凝集剤の内訳はアクリルアミド系が10・8トンで最も多く、粘着性汚泥の堆積を裏付ける状況。さらに、いずれも魚毒性の高いアミン系が2・6トン、ダドマック系が5・2トンだった。同県の担当者は「過去の凝集剤の購入伝票などと突き合わせ、信ぴょう性が高い数値だ」と述べた。
 富士川上流域でのポリマー汚泥の不法投棄は、駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに本社の取材で発覚した。静岡県によると、不漁は09年の漁獲量の落ち込みから回復していない。富士川水系ではアユが10年ごろから急激に減少したとの指摘が出ている。山梨・静岡両県と環境省は現在、連携してアクリルアミド系の凝集剤成分の拡散状況などを富士川水系で調査中。今後、そのほかの魚毒性の高い凝集剤成分についても調査が可能か検討する。
  
 ■不法投棄された凝集剤に使われていることが判明した魚毒性物質に関する日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)のコメント 新聞報道での情報しか把握できておりませんので、コメントにつきましては差し控えさせていただきます。
 
 <メモ>魚毒性 水に溶けた化学物質が魚類に及ぼす影響。一般にヒメダカなどに化学物質を投与し、個体総数の半分が死ぬ1リットル当たりの濃度(半数致死濃度)と時間で表す。富士川水系雨畑川で不法投棄されていた凝集剤に含まれるアミン系やダドマック系の物質は強い魚毒性が指摘される。因果関係は明確でないものの、富士川中下流では不法投棄が始まったとされる2010年頃から環境の指標といわれるアユが激減し、他の魚種も減ったとの指摘がある。上流部の水は希釈されにくい導水管を通り、サクラエビの主産卵場の駿河湾奥に流れ込んでいる。
 

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