ワクチン理解し正しく予防【ちょっと得するクスリの知識】

 今回は、ワクチンについてのお話です。世界で初めてのワクチンは18世紀までさかのぼります。その当時、牛痘に感染した人は、天然痘に感染しないか、感染しても軽症で済むことが知られていました。そこで、英国の医学者エドワード・ジェンナーは、8歳の少年に牛痘の膿[うみ]を接種した数カ月後に、天然痘の膿を接種したところ天然痘に感染しないことを見いだしました。ジェンナーにより天然痘ワクチンが創始され、種痘法としてヨーロッパ各地に広まって行きました。19世紀に入るとフランスのルイ・パスツールが、ニワトリコレラワクチンや炭疽[たんそ]菌ワクチンの作製に成功し、以後さまざまな感染症に対するワクチンが開発され現在に至っています。
 ワクチンには、微生物やウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、化学処理をして完全に毒性を無くした不活化ワクチン、病原体の産生する毒素を弱毒化したトキソイドなどの種類があります。近年では、新型コロナウイルスワクチンのような、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンも開発されました。このワクチンは、ウイルスタンパク質を作るmRNAを脂質膜で包んだものです。生体内の細胞がワクチンを取り込み、mRNAからウイルスタンパク質を作ります。免疫細胞がこれを異物と認識し、中和抗体が作られることを狙います。
 このようにワクチンは、生体に微生物やウイルスに対する免疫を作らせることにより、感染症を予防します。しかしながら、得られる免疫の強さには個人差があるので、感染してしまうこともありますが、重症化することは防げます。新型コロナウイルスワクチンについても、2回の接種が完了したからといって安心することなく、ご自身と大切な家族を守るためにもマスク着用、手指消毒の励行、3密回避などの感染防止行動を徹底していただきたいと思います。
 (伊藤邦彦・静岡県薬剤師会常務理事、静岡県立大薬学部教授)

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