「茶草場農法」ブランド力活用 商品開発や観光に SDGs背景

 世界農業遺産に登録されている「静岡の茶草場農法」のブランド力を活用した商品開発や観光プランづくりの動きが県内で広がっている。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方に沿った農業として、県や市町もPRや農地の保全を後押ししている。

茶草場農法で作ったお茶。ハイキング客などに好評=12日、掛川市東山地区
茶草場農法で作ったお茶。ハイキング客などに好評=12日、掛川市東山地区
乾燥させたススキなど茶草の裁断風景。茶園に敷き詰めて肥料にする=掛川市東山地区
乾燥させたススキなど茶草の裁断風景。茶園に敷き詰めて肥料にする=掛川市東山地区
茶草場農法で作ったお茶。ハイキング客などに好評=12日、掛川市東山地区
乾燥させたススキなど茶草の裁断風景。茶園に敷き詰めて肥料にする=掛川市東山地区


 製茶問屋の成茶加納(静岡市葵区)は、茶草場農法で生産した茶葉を使用したティーバッグの茶「千年静岡茶」を発売した。袋部分も植物由来の成分で製造するなど環境への配慮にこだわった。
 加納昌彦社長は「SDGsへの社会の関心が高まりつつある。自然に優しい静岡茶の魅力を発信していきたい」と語る。
 茶草場農法で生産する茶の消費拡大を目指し、県と掛川、菊川、牧之原、島田、川根本町の5市町でつくる「静岡の茶草場農法」推進協議会が認定するお茶に関連した商品の2020年度の販売点数は約84万点と、15年度比で2割増えている。
 茶草場農法に取り組む農家が県内で最も多い掛川市は、20年からコーヒー大手のUCC上島珈琲(神戸市)と連携し、自動抽出機「ドリップポッド」でいれるカプセル式のお茶の原料供給につなげてきた。独自の農業技術のPRが商品のブランド化に寄与するとして、同市の担当者は「全国的な認知度向上に結びつけたい」(お茶振興課)と話す。
 20年に里山保全のNPOや行政、観光協会など13の団体が組織した「かけがわ粟ケ岳山麓農泊推進協議会」は茶草場農法の観光資源としての活用に乗り出す。
 掛川城など市街地を巡り、山間部で茶摘み体験や製茶工場見学を行い、農家民宿で一泊するコースなどを提案する。協議会会長を務め、農家民宿を経営する松浦成夫さん(67)によると、団体客は昨年比で1割ほど増え、新たに修学旅行先としての問い合わせも受けているという。
 松浦さんは「周辺市町と協力しつつ、美しい茶畑を眺めながら歩くプランをPRしていきたい」と意気込む。
 (経済部・平野慧)

 静岡の茶草場農法 茶畑周辺の採草地「茶草場」で刈り取ったススキやササなどを有機肥料として、茶畑に敷く100年以上前から続く農業技術。生物多様性を維持し、豊かな土壌づくりにつながるなどとして2013年、国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定された。県が認定する茶草場農法に取り組む農家数は434戸。県は昨年度、高い生産技術を持ち、維持発展に努める団体や農家を顕彰する制度を創設するなど、農法の継承を支援している。

 

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