身近な食品香り成分「ピラジン」合成に新経路 静岡県立大大学院生の本山さんら解明 応用に期待

 静岡県立大大学院食品栄養科学専攻博士後期課程3年の本山智晴さん(26)が、身近な食品の好ましい香り成分として知られる「ピラジン」をアミノ酸から生合成する新経路を明らかにした。ピラジンの合成は従来、アミノ酸と糖の加熱という化学合成が知られていた。

掲載論文を説明する本山智晴さん(中央)と伊藤創平准教授(左)、中野祥吾准教授=7月中旬、静岡市駿河区の県立大
掲載論文を説明する本山智晴さん(中央)と伊藤創平准教授(左)、中野祥吾准教授=7月中旬、静岡市駿河区の県立大


 指導した伊藤創平准教授(食品蛋白質工学研究室)、中野祥吾准教授(食品生命情報科学研究室)らとの連名で、米科学誌の電子版に論文が掲載された。
 アーモンド様の香気を持つピラジン類は、焼き菓子や焼き肉、納豆など多くの加工食品に含まれる。本山さんは2種類の酵素がアミノ酸を生合成する過程において、特定の条件下でピラジンの一種が生じることを突き止めた。さらに、30度以下の常温の水中で効率的に合成が進行することも明らかにした。4年前、想定外の化合物を確認して研究を始め、科学誌の査読を1年ほど経て掲載に至った。「指導者に恵まれ、評価を得ることができた」と感謝する。
 ピラジン類は動物のフェロモンの機能を持つことが報告されていたが、生合成経路の詳細は不明だった。今回ピラジンを生み出した二つの成分は血中に含まれ、伊藤准教授は「新たな合成経路は加熱とは対照的。生物自身がピラジンを産生し利用している可能性も示唆される」と話した。中野准教授は「新型コロナウイルスの治療薬候補アビガンなど医薬品としても利用されており、応用も期待される」と話した。

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