記者コラム「清流」 つらい話でも伝える意義 

 2011年、九州の地方新聞社で駆け出し記者だった。福岡県まで避難してきた東日本大震災の被災者に取材した際、未熟で相手の話を上手に引き出せない自分のことがいやになったのを、まだ覚えている。
 7月、土石流災害から約2週間後の熱海市に取材に入った。まだ国道の一部が通れず、神奈川県湯河原町まで迂回(うかい)して熱海市街地へ通院するという伊豆山地区の住民に、不安などを聞いた。取材技術は向上したかもしれないが、つらい思いをしている人に接するときの申し訳ないような気持ちは、10年前とあまり変わらなかった。
 聞くのもつらいような話でも、伝えなければならないことがある。10年間、自らに言い聞かせ続けている。
 

いい茶0
メールマガジンを受信する >