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熱海土石流 盛り土部分の土地所有者らを刑事告訴へ 被害者の会「再発防止に一石を」

 熱海市伊豆山の大規模土石流の被災者らでつくる「熱海市盛り土流出事故被害者の会」は13日、市内で記者会見を開き、弁護団が来週中にも土石流起点の盛り土部分の土地所有者らを重過失致死容疑などで熱海署に刑事告訴する考えを明らかにした。

土石流で亡くなった瀬下陽子さんの遺影を手に、刑事告訴などへの思いを語る雄史さん(右)=13日午前、熱海市
土石流で亡くなった瀬下陽子さんの遺影を手に、刑事告訴などへの思いを語る雄史さん(右)=13日午前、熱海市

 同会代表で、母親の瀬下陽子さん(77)を亡くした雄史さん(53)=千葉県=は「集団の力で制度の見直しや法整備、悪徳業者を排除し、同様の被害をこれ以上増やさないよう一石を投じたい。事故を起こした当事者に責任を負ってほしい」と訴えた。
 弁護団共同代表の加藤博太郎弁護士は「事件が風化してしまう前に、速やかに法的措置を講じたい」と強調。盛り土の土地を2011年まで所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)と現所有者の男性に損害賠償を請求する民事訴訟も、来月末までに静岡地裁沼津支部に起こす考えを示した。
 12日時点で同会に参加している被害者約30人だけでも、請求額は10億円ほどになるとみられる。被害者全体だと200億円前後に上る見通しという。
 静岡県によると、09年時点の計画で盛り土の高さは「15メートル」となっていたが、土石流発生直前は最大約50メートルだった。条例で設置が義務付けられている排水設備が設けられていなかった疑いもある。
 犠牲者は23人に上り、5人が行方不明になっている。

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