塔婆、再生可能な紙製に 「紙のまち」富士、業者連携

 先祖の供養も環境に優しく―。岳南地域の墓参りの風習である「塔婆」をリサイクルしようと、富士市の業者が連携して今夏から紙製の塔婆の普及に乗り出した。植物由来の新素材「セルロース・ナノファイバー(CNF)」を活用して堅さを実現した板紙で作った紙製塔婆で、資源の有効活用や「紙のまち」のPRにつなげる。

リサイクルを可能にした「紙製エコ塔婆」(左)と従来の木製の塔婆=11日、富士市の延命寺
リサイクルを可能にした「紙製エコ塔婆」(左)と従来の木製の塔婆=11日、富士市の延命寺

 紙製の塔婆は、墓石販売業「熊力石材」(同市大野)が「紙製エコ塔婆」として7月に販売を始めた。使用後は同社が無料回収し別の紙製品に生まれ変わる。
 岳南地域ではコンビニ店でも販売される木製の塔婆は再利用できず、墓石改装も手掛ける同社は処分に困る寺院の依頼で使用済みのミニ塔婆を回収後、廃棄してきた。小学生の娘の影響でSDGsや環境問題に関心を持った熊王秀和社長は「市販品はほぼ海外産木材製で年間10万本近く使用され、短ければひと月で廃棄される。ずっと心に引っ掛かっていた」と話す。数年前から紙製品化を模索してきたが、当初考えた段ボール製では屋外での日差しや風雨に耐えられる強度はなく、断念していた。
 転機は、支援機関に紹介された大昭和加工紙業(同市今泉)の堅い板紙「KAMIDE(カミデ)+CNF」との出合い。アイスの棒の代替素材として開発された「カミデ―」は食品に対応するため、天然由来のCNFを接着剤に使用することで強度が増し、水にも強い。木材代替品などとして、多用途での活用が期待される板紙の登場が塔婆の紙化を可能にした。
 塔婆やお供えの造花の回収に困っていた延命寺(同市本市場)はさっそく取り扱いを始めた。高橋俊行住職は「時代に合った良い取り組み。参拝者に紙製を勧めたい」と話す。熊王社長は「従来品より割高だが、何度も再利用できる。徐々に浸透させ、富士の紙加工技術も伝えたい」と、さらなる紙の活用も検討する。

 <メモ>塔婆(卒塔婆)は仏塔を模した木板で仏教寺院で故人の追善供養に用いる。富士、富士宮市など県東部の一部では、経文などが書かれた長さ50センチほどの小ぶりな塔婆が「ミニ塔婆」などと呼ばれ、お盆やお彼岸の墓参りで名刺代わりに供える風習がある。名前や日付を書いて親戚や友人などの墓前に供えると墓参した人が分かる。竹製の花立てを置く風習が簡略化されたともいわれる。熊力石材が販売する紙製エコ塔婆は、厚さが木製の4分の1程度で省スペースにもなるという。問い合わせは同社<電0545(31)0888>へ。

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