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特集 : 大自在

大自在(8月11日) 山伏のヤナギラン

 静岡・山梨県境の山伏[やんぶし](2013メートル)は安倍川流域の最高峰。三角点のある山頂付近は平坦で草原が広がり、東に富士山、西に南アルプスがよく見える。そこに群生するヤナギランが今年も花を咲かせた。 
 ヤナギランは本州中部以北の高原などに生える多年草。葉がヤナギに似て細長く、夏に紅紫色の花を咲かせる。汗をかき息を切らしてたどり着いた山頂で、ヤナギランの花を見ると気持ちが和む。
 ただし、ヤナギランが生えているのは静岡市が設置したシカ除けネットの内側のみ。保護しないとシカに食べ尽くされてしまうためだ。夏なのに山頂付近で青々としているのはネットの内側だけに見えた。
 ネットの外にはかつて笹原が広がっていた。ところが、今は芝生広場のようにきれいに刈られている。笹だけではない。ウラジロモミなど周辺の樹木の立ち枯れも気になった。枯れた木はいずれも樹皮がきれいにはぎ取られていた。
 山伏では2007年、眺望を得ようと樹皮を切り取って勝手に樹木を枯らす行為が問題化したことがある。しかし、現在は人ではなく、シカの仕業らしい。シカの食圧の強さには驚かされる。天敵がおらず温暖化も進み、数が増え続けていることで食害も深刻化の一途だ。
 いずれ山頂付近の景観が大きく変わってしまうかもしれない。シカの頭数管理が必要だが手だては限られる。とはいえ自然の多様性を守るためには、人が関与していくしかないだろう。ヤナギランは9月には白い綿毛を持つ種をつける。そうした営みを永続させていかねばならない。

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