盛り土規制に最も重い罰則 「懲役2年、罰金100万以下」 静岡県議会委員会、条例改正へ
熱海市の土石流災害で被害を拡大させたとされる盛り土の規制強化に向けて、県の上原啓克土地対策課長は10日、改正する県土採取等規制条例の罰則について「2年以下の懲役、100万円以下の罰金」とする方向で作業を進める考えを示した。県議会建設委員会での答弁。地方自治法が条例で認める最も重い罰則を適用する。
同様の罰則は近隣の神奈川県や山梨県の条例に盛り込まれている。厳罰化によって罰則の軽い自治体に土砂が持ち込まれ、不正な盛り土が造られるのを避ける狙いがあり、上原課長は「実効性の高い条例になるように検討する」と述べた。
行政指導に応じない場合の事業者への対応については、厳罰化しても是正されない事例があるとし、自治体が不正な盛り土を撤去する行政代執行の有効性を指摘。ただ、税金が充てられる代執行の費用は「非常に大きなネックになっていて、行政が踏み切れないケースがある」との認識を示した。
産業廃棄物を代執行で撤去する場合には国や自治体、産業界が拠出した基金が代執行の費用を支援する仕組みがある。上原課長は全国一律の規制を定めた法律を制定する必要性に触れ、産廃と同様の財政支援措置を新たな法整備で導入するように国に働き掛ける方針も明らかにした。
一方、熱海市の土石流被害を拡大させたとされる盛り土を巡っては、県や市の行政手続きを整理した結果を10月ごろに公表するとの見通しを示した上で、第三者による検証方法は「まだ決まっていない」と答えた。
(政治部・大橋弘典)