熱海土石流で被災した中国人男性徐さん、地域支援へ 母国から寄付募る

 「私は生きているし、まだ若い。頑張れば何とかなる」―。熱海市伊豆山の土石流で倒壊したわが家の方角を見つめながら、中国籍の徐浩予さん(28)は気丈に語った。市内のホテルで避難生活を続けている徐さんは、同じ境遇の被災者を支援しようと、母国や在日中国人から義援金を募ろうと立ち上がった。

土石流の被災者支援に向けた思いを語る徐浩予さん=5日午後、熱海市伊豆山
土石流の被災者支援に向けた思いを語る徐浩予さん=5日午後、熱海市伊豆山

 2015年に来日し、熱海の美しい海や文化に憧れて6月下旬に東京から移住した。その約1週間後、土石流は発生した。外出していて命は助かったが、土石流の起点に近い山間部にあった自宅は真っ先に被災したとみられる。手元に残ったのは財布とスマートフォン、そして民宿を営もうとして購入した家の鍵だけ。翌日の新聞の写真で、わが家の惨状を知ったという。
 移住したばかりの徐さんは、住民票を東京から熱海に移していなかった。「市役所に相談しても『東京の区役所に相談した方がいい』と言われた」。その後、地元市議らの助けで市が用意した避難所のホテルに入り、罹災(りさい)証明書を得ることができた。
 災害時の混乱があったとはいえ、市の対応に「ショックを受けた」という徐さんだが、「熱海のことは嫌いにはならない。むしろ助けてもらった恩返しがしたい。東京では1人もいなかった日本人の友達もできたから」と前を向く。新型コロナ感染が母国で拡大した際、日本からマスクなど多くの支援物資が届いたことも恩義に感じているという。
 発生から1カ月余り。徐さんは日中友好団体や在日中国人に協力を呼び掛けて、義援金募集を始めた。災害ボランティアとして、復旧活動にも尽力するつもりだ。「災害に国籍や住民票は関係ない。熱海にいる中国人として精いっぱい活動したい」と語った。

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