手話通訳、遠隔でOK 静岡県がオンラインシステム導入 感染拡大、災害時…活用普及へ

 新型コロナウイルス感染症対策の一環として、静岡県は本年度から、聴覚障害者がスマートフォンなどで手話通訳者とオンラインでつながり、画面を介して目の前の相手と話す「遠隔手話通訳」のシステムを導入した。感染拡大で手話通訳者が派遣できない状況を想定した取り組み。現時点で利用実績はないが、関係者は「必要な時に多くの人が使える仕組みにしたい」として、認知度の向上や活用の広がりを模索する。

ビデオ通話を介し、離れた場所の聴覚障害者とコミュニケーションを図る手話通訳者=6月上旬、静岡市葵区の県総合社会福祉会館
ビデオ通話を介し、離れた場所の聴覚障害者とコミュニケーションを図る手話通訳者=6月上旬、静岡市葵区の県総合社会福祉会館
遠隔手話通訳のイメージ(県提供資料に一部追記)
遠隔手話通訳のイメージ(県提供資料に一部追記)
ビデオ通話を介し、離れた場所の聴覚障害者とコミュニケーションを図る手話通訳者=6月上旬、静岡市葵区の県総合社会福祉会館
遠隔手話通訳のイメージ(県提供資料に一部追記)

 「市町が行う手話通訳者の派遣はろう者に欠かせない事業。基本は対面だが、それができない時に広く活用できる」。自身も聴覚障害がある県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長は、遠隔手話通訳のメリットをそう説明する。発熱や頭痛を伴う時の通院など、手話通訳者が同行することで感染リスクが生じるようなケースを避けることができる。
 利用には通常の手話通訳者の派遣と同様、事前に市町の担当窓口に依頼すると、URLやQRコードが記された決定通知書が発行される。当日はスマホで読み込むなどして手話通訳者と専用のビデオ通話で結び、手話と音声で相手と会話する。県によると、県内全35市町でシステムを無料で利用できるが、通信料は自己負担となる。
 連絡を受ける手話通訳者は、静岡市葵区の県総合社会福祉会館や県内4カ所の県総合庁舎に用意された専用ブースや会議室などで応対する。手話通訳者はスマホの小型画面を通じて手話を正しく伝える技術も求められる。
 ただ、取り組み自体の認知度や緊急時の対応など、課題も多い。県障害福祉課は同協会の協力も得てPR動画を作成したほか、市町の担当者会議を開き実演や対策を検討している。同課の佐野淳一班長は「法に基づく聴覚障害者の意思疎通支援につながる事業」とした上で、「今後は災害時の避難場所での使用などに広がる可能性もある」と期待を込める。
 (社会部・松岡雷太)

 <メモ>遠隔手話通訳のシステムと同様、聴覚障害者らに向けた公共インフラとして7月から、国による制度の「電話リレーサービス」の運用も始まっている。ビデオ通話で通訳オペレーターに手話や文字を伝え、通話先の相手と会話する仕組み。24時間365日の通話が可能で、110番などの緊急通報もできる。利用には専用アプリなどで事前登録が必要になる。

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