小山、御殿場、裾野 東京五輪自転車ロード全日程終了 開催実績、次の一手へ

 東京五輪自転車競技ロードレースは28日、個人タイムトライアルを小山町の富士スピードウェイを主会場にして行い、全日程が終了した。「地元の誇り」「地域に新たな価値が生まれた」―。ロードの県内開催地となった御殿場、裾野、小山の3市町の担当者は成果を強調。五輪のブランド力を、サイクルツーリズムや自転車を活用したまちづくりにつなげようと息巻いている。

夕暮れのスピードウェイを疾走し、ゴールを目指す男子個人タイムトライアルの選手。雲間から富士山が一瞬、姿を見せた=28日午後、富士スピードウェイ
夕暮れのスピードウェイを疾走し、ゴールを目指す男子個人タイムトライアルの選手。雲間から富士山が一瞬、姿を見せた=28日午後、富士スピードウェイ
東京五輪自転車競技ロードレースの小山町運営本部で業務に当たる職員=28日午後、町役場
東京五輪自転車競技ロードレースの小山町運営本部で業務に当たる職員=28日午後、町役場
ボランティアに飲料を手渡す瀬戸春美さん(右から2人目)ら=28日午前、御殿場市の上柴怒田公民館
ボランティアに飲料を手渡す瀬戸春美さん(右から2人目)ら=28日午前、御殿場市の上柴怒田公民館
夕暮れのスピードウェイを疾走し、ゴールを目指す男子個人タイムトライアルの選手。雲間から富士山が一瞬、姿を見せた=28日午後、富士スピードウェイ
東京五輪自転車競技ロードレースの小山町運営本部で業務に当たる職員=28日午後、町役場
ボランティアに飲料を手渡す瀬戸春美さん(右から2人目)ら=28日午前、御殿場市の上柴怒田公民館

 円滑、安全な大会運営の支援や交通規制に伴う周辺住民への影響軽減などに力を注いできた各市町。「世界的レースを無事開催できたことは町の誇りになる」。小山町オリンピック・パラリンピック推進局の池谷精市局長は安堵(あんど)の表情を浮かべた。コロナ禍に翻弄(ほんろう)されたが、地元住民らと連携し、町を挙げて機運醸成や来訪者のおもてなしに取り組んだことに胸を張る。
 ほとんどの自治体がライブサイト設置を断念する中、3市町は規模を縮小した上で開催に踏み切った。一部の住民からは批判が寄せられた。裾野市の山口直樹担当室長は「開いていいのかと葛藤はあった。だが、五輪の感動や高揚感を市民が共有する機会を提供したい思いは一貫していた」と振り返る。
 ロードはテレビの生中継がなかった。ネット配信で白熱したレースが注目され、ツイッターで関連ワードが相次いでトレンド入り。富士山麓の景色や街並みなどコース周辺の風景が国際映像で発信された。御殿場市の杉山健一郎担当課長は「五輪のコースになったという実績は大きなブランドになる」と期待する。
 3市町とも、五輪開催地という価値を生かしたスポーツツーリズムや観光誘客に力を入れる方針。小山町は、町内が舞台となる国際レース「ツアー・オブ・ジャパン」の盛り上げにもつなげていく。
 池谷局長は「ここからが本当のスタート。一過性に終わらせず、自転車のまちづくりを加速させる」と意気込む。山口室長も「この熱を冷ましてはいけない。開催した価値を生かすアイデアを考えていかなければならない」と先を見据えた。

 ■「おもてなし」高根に生んだ絆 御殿場
 3日間にわたり繰り広げられた東京五輪自転車競技ロードレースで、舞台になった御殿場市の高根地区は、独自にオリンピック・パラリンピック実行委員会を組織し、世界規模の大会に地域を挙げて協力した。ボランティアの後方支援や観客のもてなし、選手の応援に当たり、杉山和彦委員長(59)は「地区が団結し住民に絆が生まれた」と感慨に浸る。
 「熱中症に注意してください」-。個人タイムトライアルが開催された28日、同地区の上柴怒田公民館。この日の当番、瀬戸春美さん(69)らが飲料を手渡してボランティアを送り出した。
 市内で唯一、3日間コースに含まれる同地区。五輪をきっかけとした地域振興などを図るため、2019年6月に地区内の各種団体の代表者による実行委員会を設立し、機運醸成に努めてきた。
 大会期間中は試走日を含め4日間、住民や観客の休憩用にテントを設置。有志が交代で滞在し、飲料や菓子類を提供した。男子ロードレースの24日はライブサイトの設営や運営も担った。コースサポーターを務めた住民も多く、瀬戸さんは「大会に関われて幸せ」と笑顔を浮かべる。
 住民同士の結び付きは強い地域だが、新たに移り住む人も増えた。地区の行事では来賓の立場となる重鎮も今回は同じ立場でボランティアに取り組み、一体感が生まれた。杉山委員長は「五輪に携わる喜びを共有できた。今後も力を合わせ、よりよい地域にしたい」と地域の遺産(レガシー)として受け継ぐ決意を新たにした。

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