掛川のアマ天文家発見「西村彗星」 名字冠、自分だけの星「56年越しの夢かなった」
掛川市宮脇のアマチュア天文家西村栄男さん(72)が22日未明に新しい彗星(すいせい)を発見し、国際天文学連合(IAU)に「C/2021 O1(西村彗星)」と命名された。アマチュア天文家が彗星を発見するのは国内では数年に1回程度と珍しく、16歳から続けてきた西村さんは「56年越しの夢がかなった」と喜んだ。
同市五明の茶畑で撮影した約540枚の写真を画像処理し、過去の画像と照合したところ、ぎょしゃ座の東に未知の星が見つかった。緑がかった色で周囲にぼんやりとガスが見え、天文家仲間と精査して彗星と確信。IAUに報告した。
西村さんは年間250日ほど夜空の撮影を続け、国内アマでは屈指の29個の新星を見つけてきた。ただ、発見者の名前が星の名称として残る彗星は容易に見つからず、1994年に一度見つけた時は同時に2人の発見者がいて、3人連名になった。自分だけの彗星探しは長年の夢だった。
近年は高度な機材がある外国の機関などが先行し、アマチュアが成果を出すのは難しくなっているという。自作の機材と粘り強さで対抗してきた西村さんは「確率はゼロではないと信じてきた。続けてきて良かった」と達成感をかみしめた。
(掛川支局・宮坂武司)