クレープ作る小型ロボット話題 1分で焼き上げ、飲食店に試験導入 浜松のベンチャー企業開発

 浜松市中区のベンチャー企業「モリロボ」はクレープの生地を非接触で自動的に焼き上げ、飲食店の人材不足解消にもつなげるロボットの小型化に成功した。静岡大浜松キャンパスの現役大学生が導入開拓に貢献し、同区のレストランで今月中旬に実証実験が始まった。約4年間にわたって改良と需要調査を重ねた森啓史社長(43)は「子供も大人もわくわくできる浜松産ロボット。導入加速で業界を盛り上げたい」と話す。

試験導入されたクレープロボット「Q」。森啓史社長(左)の開発を静岡大生の鈴村こころさん(右)が支えた=15日、浜松市中区のステーキのあさくま鹿谷ガーデン店
試験導入されたクレープロボット「Q」。森啓史社長(左)の開発を静岡大生の鈴村こころさん(右)が支えた=15日、浜松市中区のステーキのあさくま鹿谷ガーデン店

 クレープロボット「Q」は、クレープ店でのアルバイト経験がある森社長がスズキ勤務時の元同僚らの協力を得て、2017年2月に生み出した。生地の材料を入れたボトルを設置し、約1分で焼き上がる。人手不足解消と人件費節減を期待するクレープ店などに提案し、大手アイスクリームチェーン店でも導入が実現した。焼く作業の様子が動画投稿サイト「ユーチューブ」で話題を呼んだ。
 ホテルやレストランのビュッフェ形式の需要に着目した森社長。鉄板の直径を40センチから20センチに小型化し、価格を約80万円減の120万円前後に抑えることに成功した。部品は全て浜松市内で調達し、コロナ禍を踏まえ非接触で作動するセンサーを拡充した。年間100台の生産を中期目標に掲げ、大型版とともに営業形態に即した機能を柔軟に調整・搭載していく計画だ。
 森社長は起業直後の17年11月から、同大浜松キャンパスに隣接する浜松イノベーションキューブに入居して開発を続けた。「自宅アパートの一室で始めた挑戦が大勢の支援と協力でここまでたどり着いた。店に置くのを誇りに思ってもらえるような製品に成長させたい」と夢を膨らます。

 ■静大生、営業や技術開発に貢献
 モリロボの森啓史社長はスズキの生産現場で10年以上働いてきた「技術屋」で、製品のPRや営業は苦手だった。人員が少ないベンチャーを下支えしたのが静岡大工学部の鈴村こころさん(21)だ。
 森社長は浜松市内で昨年11月にあったイベントで、同大浜松キャンパスと静岡文化芸術大の学生でつくる「NoKin.(ノーキン)」代表の鈴村さんに出会った。プレゼンテーション能力の高さに驚き、迷うことなく営業担当としてアルバイト採用した。鈴村さんの売り込みなどが実り、ファミリーレストラン「ステーキのあさくま鹿谷ガーデン店」での試験導入が決まった。工学部の学生は非接触センサーの技術開発でも貢献している。
 コロナ禍でビュッフェ形式は利用者減に直面。対策に加え、新たな呼び水になる仕掛けを期待する関係者は多いという。鹿谷ガーデン店の男性店長は「クレープは新メニューで、体験イベントを重視する店の方針にも合致した。出来栄えは十分で、起爆剤になれば」と手応えを語る。
 今回の経験を、来春就職予定の会社でも生かしたいと意気込む鈴村さん。「学生の視点で社会と関わり、新たな動きを生み出す挑戦ができた。連携はノーキンとして継承していきたい」と強調する。

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